ホイールとハブの間に入れるハブリングというパーツをご存知だろうか。実は重要なパーツでアフターパーツのホイールを装着するならぜひとも導入したいパーツなのだ。
◆スムーズな回転と安全性をアップするハブリングとは
まずホイールはクルマのハブ面に取り付けられていて、4本か5本のスタッドボルトにホイールを通してナットで締め付けられている。このときにスタッドボルトはタイヤとホイールを支えているわけではない。ホイールの中心のハブ(穴)が、ハブ側の出っ張りに噛み合ってホイールからの荷重を支えている。ホイールナットはスタッドボルトを引っ張ってホイールをハブ面に引き寄せる役割が正しい。
なので純正ホイールは必ずホイールの中心とハブ側の出っ張りがきっちり噛み合うようになっている。こうしていればスタッドボルトが折れることもないし、ホイールがきちんと取り付けられていなくて振動が出たりすることもない。
アフターパーツのホイールではこのセンターホールが大きく設計されている。それはハブの出っ張り側がクルマによって大きさが異なるので取り付けられないと困るから。そこで登場するのがハブリングなのである。その大きめの穴とハブ側の出っ張りが密着するようにハブリングを入れることで、荷重をハブセンターで支えることができる。スタッドボルトに対する負荷も減るし、ホイールがきっちりと真ん中に取り付けることができるので、走行中の振動も出にくくなる。
ハブリング自体は「ハンドルの振動解消」などをキャッチフレーズとして売られているが、もちろんそういった問題を解消する効果もあるが、ホイール本来の取り付け方法とすることで正しい使い方をするためのパーツなのだ。
◆ホイールスペーサーを入れた場合
ホイール取り付け面を車体の外側にするためのホイールスペーサーを入れた場合は特にスペーサーは重要。スタッドボルトの付け根からホイール取付面までの距離が長くなるので、スタッドボルトに対する負荷が大きく増えてしまう。とくにワイドトレッドスペーサーでは15mm以上の厚みになるので、ホイールまでの距離が長くなりがち。そこでワイドトレッドスペーサーにハブリングを組み合わせているメーカーもある。特にスペーサーでホイールを外側に出すとスタッドボルトに対する負荷が増えるので、スペーサー付きのワイドトレッドスペーサーを使うようにしたい。
◆トルクレンチで締める
そして、スタッドボルトが健康であるかも大事なこと。強くホイールナットを締めすぎていると徐々にスタッドボルトは引っ張られて伸びてきてしまう。伸び切ってしまうと折れることに繋がる。そのためにトルクレンチでの管理が大事で、強く閉めればいいのではなくボルトを守るためでもあるのだ。
スタッドレスに履き替えるときなどDYIでタイヤ交換をするときに、十字レンチでギューギューしてる人や、体重を掛けて思い切り締めるなんて人もいるが言語道断。その日まではそれで大丈夫だったかもしれないが、スタッドボルトが折れてホイールが脱落していきかねない。締め過ぎでもタイヤは取れてしまうのでトルク管理が必須だ。
トルクレンチはその締め付ける力を計測できるもので、規定の締め具合になったらカチカチと手応えがしたり、電子音で知らせてくれるもの。安いものはホイール用で3000円くらいから。高いものは数万円するが、安いものでもいいので自身でタイヤを履き替えることがある人は揃えておきたい。
また、そのときにスタッドボルトにグリスを塗るか否かもある。自動車メーカー側では多くのメーカーでグリス類の塗布は禁止されていることが多い。しかし、レースやチューニングカーでは度重なるボルトの着脱でスタッドボルトやナットが摩耗することを防ぐためにグリスを塗ることがある。
めったに着脱をしないならグリスを塗る必要はないが、頻繁に外すことがあるならスタッドボルトに薄くグリスを塗るのもあり。このときに油分がナットのテーパー部分に付いてしまうとホイールを締めるときの摩擦が減って異常なトルクで締め付けてしまうことがある。それが原因でスタッドボルトが折れることもあるので、ナットのテーパー部には絶対にグリスがつかないように薄くグリスを塗って、その上からペーパータオルで拭き取るくらいでも良いのだ。
DIYでも触れやすい部分だが、危険も伴うことがあるのがタイヤやホイールにまつわる作業だけにポイントを抑えて作業をしてもらいたい。