クルマの中では超低音のスムーズな再生が難しい。ゆえにカーオーディオでは超低音再生のスペシャリストである「サブウーファー」が使われることが多い。当特集では、その有効的な使い方や選び方を解説している。現在は、「単体サブウーファー」にスポットを当てている。
◆国産ブランドは「単体サブウーファー」を“少数精鋭”で展開!
最初に「単体サブウーファー」とは何なのをおさらいしておきたい。これは超低音再生に特化したスピーカーであり、スピーカーユニットが裸の状態で売られているもののことを指す。で、これを使う場合には別途「サブウーファーボックス」と「外部パワーアンプ」とが必要となるので、導入のハードルは上がってしまう。しかし、愛好家の多くは好んでこれを使っている。それらにどんなものを組み合わせるかで超低音の鳴り方が変わるので、何を使うかを吟味するところから楽しめるからだ。
そしてもちろん、「単体サブウーファー」自体に何を使うかによっても得られるサウンドが変化する。なので前回の記事では、「単体サブウーファー」のタイプ解説を行った。それに引き続いて今回は、市場動向を説明していく。
ところで実は「単体サブウーファー」は種類が豊富だ。先述したようにタイプ違いがさまざまあるので、選択の幅が至って広い。
だが、大手国産カーエレクトロニクスメーカーはタイプ違いを出してはいない。“少数精鋭”的に数を絞って発売しているケースが大半だ。
例えば三菱電機(ダイヤトーン)は、「単体サブウーファー」のリリースを1アイテムにとどめている。持てる技術を集中的に投下して自信作『SW-G50』を出し、それ以外はラインナップしていない。
◆カロッツェリアは音質重視のハイエンド機に加え、音圧重視のパワフルモデルも用意!
またカロッツェリアも、「単体サブウーファー」はハイエンド機を主体として計3モデルを発売するにとどまっている。
そのラインナップは以下のとおりだ。スピーカーのハイエンドライン『1000RSシリーズ』とそれに続く『PRSシリーズ』のそれぞれの中に1つの「単体サブウーファー」を用意し、そしてもう1機種、30cm口径のパワフルモデルとをラインナップする。
ちなみにその30cmモデルは、そもそも北米市場向けに開発されたひと品だ。北米では低音をパワフルに鳴らして楽しもうとする文化が根付いていて、大口径モデルや大パワーモデルへのニーズが高い。当機はそういった要望に応えるべく開発されたモデルだ。それが日本へと“逆輸入”されたというわけだ。
続いては北米ブランドについて見ていこう。北米ブランドの多くは低音をパワフルに鳴らしたいというニーズに応えるべく「単体サブウーファー」を多彩にリリースしていて、大口径&大パワーモデルを数多くラインナップする。グレード違いをさまざま用意しながら、それぞれでタイプ違いも多様に擁する。口径違い、インピーダンス違い、ボイスコイル違い等々をバリエーション豊かに販売している。
なので「低音を増強しよう」と思った際には、北米ブランドに目を向けるとぐっと選択肢が多くなる。
◆欧州ブランドは北米ブランドほど豊富に「単体サブウーファー」を持たない。しかし…
一方欧州ブランドは、国産ブランドと比べると数多くの「単体サブウーファー」をリリースしている場合が多いものの、北米ブランドほどタイプ違いを豊富に持ってはいないケースが少なくない。スピーカーの各シリーズにて口径違いを用意していることが多いが、タイプ違いのバリエーションはそれほど多くない。
ただし、多彩にリリースしているブランドも一部ある。そういったメーカーは音圧コンペティター向けに大口径モデルやパワフルモデルもラインナップする。そうであると、タイプ違いがさまざま用意されることとなる。
ところで、北米、欧州問わず、薄型モデルも製品リストに加えているブランドは多い。薄型であれば「サブウーファーボックス」もコンパクトに仕上げられる。なお薄くなる分、振動板のストローク量も少なめになるので、空気の振動量も少々減り超低音の迫力がややスポイルされがちだが、積載上の自由度は高まる。トランクの積載性をできる限り落としたくないと思ったときには、薄型モデルにも注目しよう。
今回は以上だ。次回は、ユニークな「低音増強法」を紹介する。お楽しみに。