今回の東京オートサロン2024でも数多くの出展車両が見られたトヨタ『ランドクルーザー』。近年のアウトドア/オフ系の人気もあって、ランクルの活躍の範囲がますます広がっているようだ。エアロワークからオフ仕様まで、ランクルカスタムの色々を見ていくこととしよう。
ランドクルーザー(以降ランクル)とひと言で言っても、トヨタでは歴代大きく2つの潮流が存在する。ひとつは高級路線・ラグジュアリー化をすすめた現在の「300」系。4WDのメカニズムの高機能化はもちろん、ボディの大型化による居住性のアップ、さらには外装の高級化などが特徴のモデルとなっている。高級SUVの最高峰モデルとして捉えるユーザーがいるほどのハイエンド車になっている。
一方でよりオフロード色の強いシリーズとして存在するのが「70」系。300系の先々々代である80系の時代に、ランクルの双璧として生まれた40系をルーツとするシリーズだ。そんな70系は不整地走行が当たり前の国などへの輸出をメインに、現地では不可欠の足として利用されてきたクルマだ。日本では一度は絶版となっているが、ユーザーニーズの高まりから過去にも再販を実施、昨年は再々販が決まり、にわかに70系の人気が盛り上がっている。
そんな背景があることから300系、70系ではカスタムのスタイルも方向性も大きく異なることになる。オートサロン会場を見渡すとまずは目に付くのが300系のカスタムだろう。カスタムスタイルとして定番になっているのはラグジュアリーなデザインを投入したスタイリングだ。例えば22インチ程度の大径ホイールを履きこなす足まわり、これは大型SUVでも見られる手法で、ボディのサイズ感に負けないドレスアップスタイルとなっている。加えて各部のエアロ処理も込められている。ただし、ビッグサイズミニバンにあるような大きくストックの造形を変えるようなデザインは比較的少なく、ランクルならではのオフ臭を備えたフォルムを持たせているのも300系に置けるエアロカスタムの特徴だろう。
一方で、ランクル=オフロード車の最高峰というとらえ方もあるため、外装のガード類などを備えたオフロードテイストのモディファイを加えた仕様も見られる。もちろん本気でオフロードを走れば高いポテンシャルを発揮する300系だけに、オーバーランダーを意識したカスタマイズもしっかり裏付けがあり、形だけのオフロードモディファイとは深みの違うカスタムカーができ上がっている。そんな仕様ではルーフトップテントや車内のベッドキットなどを装備することで、車中泊やオートキャンプにも活用できる、アウトドアでの実用的な面も兼ね備えることができるので注目だ。
一方の70系のカスタムスタイルはとにかくオフロードを意識した硬派なスタンス。グリルガードやサイドステップなどのヘビーデュティな外装プロテクションパーツは大定番として、渡河やデザート走行での吸気の安定性を引き出すためのサファリシュノーケルの装備が見られるのも本気のオフロード車ならでは。またフロントバンパーにウインチを設置するスタイルも、オフロードの本気走行でたびたび出くわすスタックからのレスキューには実力を発揮する機能パーツ。フロントバンパーにウインチベッドなどの他のクルマではあり得ないゴツい機器が乗っかっていることから硬派で本気な4WDを感じさせるには最適なモディファイとなる。
さらに足まわりは300系とは対照的に16、17インチ程度の比較的小径のホイールが用いられるケースが多い。これはタイヤハイトをある程度稼ぎ、タイヤによる衝撃吸収と走破性を確保するための手法なのだ。MTなどのオフタイヤを組み合わせればワイルドな仕様が完成する。リフトアップも加えてオフでの走破性を意識した足まわりセッティングを施すことも多く当然対応するオフ系のパーツも多い。バンボディの76に加えて、再販モデルにはトラックボディの79も存在する(過去の70系にはさらに多くの仕様が存在する)。そんなバリエーションを楽しむのも70系ならでは。
ランクルとひと言で言っても300系のカスタムスタイルと70系のカスタムスタイルがあることがわかったと思う。いずれのカスタムにも多くのメーカーがパーツを供給しているので、自分好みのカスタムを作ることができそうだ。ストックのまま乗っているユーザーが比較的少ないランクルなので、自分仕様のモディファイを展示車両を参考に考えてみると良いだろう。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。