「東北のモータースポーツの聖地」を謳うサーキット、スポーツランドSUGOでレース観戦以外でも気軽に楽しめる新たな取り組みがスタートしている。“会いに行けるアイドル”ならぬ“ふらっと立ち寄れるサーキット”の楽しみ方とは? バイク女子として活躍の場を広げる俳優の指出瑞貴さんが体験取材!
◆地元の名産を使った看板メニューが味わえる「SUGO CAFE」
仙台駅からクルマで1時間ほどの宮城県柴田郡に立地するスポーツランドSUGOは、1975年にオープン。緑豊かな自然の中に、レーシングコース、モトクロスコース、カートコース、トライアルフィールドと4つのコースを合わせ持つ国内唯一のサーキットで、国際的レースも多数開催される。2輪ではロードレース、モトクロス、トライアルとほぼすべての競技がここで見られるという類を見ないサーキットだ。
そんなSUGOに今年4月、「SUGO CAFE」がオープンした。このカフェの大きな特徴は、レース観戦客だけでなく、この地を訪れる誰もが利用できるところにある。もともと駐車場だったスペースに建てられたカフェは、入場ゲートをくぐることなく立ち寄ることができる。もちろん入場料はない。「モータースポーツのファンの方はもちろん、ライダーの集いの場として、そして近隣の方々の憩いの場として広く利用いただければと思っています」(営業部の佐々木さん)
ガラス張りの店内は明るく、木のぬくもりも感じられる空間に、歴史的なバイクやレジェンドドライバーのヘルメットの展示、オリジナルグッズの販売コーナーが並ぶ。広々とした店内にはソファ席やテラス席もあり、ゆったりと寛げるスペースという印象だ。
「すごくオシャレなお店でびっくりしました!ツーリングの目的地にしたり、休憩にふらっと立ち寄るのにピッタリ。女の子だけでも気軽に入れるお店なのが良いですね」と指出さんはコメント。実際、平日には地元のママ友たちが訪れてフードやドリンクを楽しんでいるとか。
そのメニューにもSUGOならではのこだわりがある。それが地元、村田町の名産品である酒粕や味噌、グリーンパール納豆といった発酵食品を活用したカレーやパスタだ。旅するシェフ吉田友則氏の監修により独自の看板メニューを開発した。
「85カレー」はカレールーに酒粕がブレンドされていて、「スパイシーなんだけど、酒粕の甘味が口の中に広がります!辛いものが苦手な人でもどんどん食べられちゃいますね」と指出さんが評価した通り、実際に地元の小学校の給食で提供され、子どもたちに大人気なのだそう。お土産用のレトルト商品も販売しており、SUGOの新名産となる日も近そうだ。
ちなみに商品名の「85」は「ハッコー(発酵)」の語呂合わせから。もうひとつの看板メニューである「710ボロネーゼ」の名前の由来はもちろん「ナットー(納豆)」で、独特の香りと濃厚なトマトソースが美味しい。酒粕を練り込んだバターで味変ができ、2度楽しむことができるのもポイントだ。このほかにもSUGOならではのスイーツやドリンクメニューを豊富にラインアップする。
◆亜久里やセナも走ったコースを疾走できる「ナイトカート」
お腹と心が満たされて、日が傾いてきた頃にオススメのSUGOならではのアクティビティが「ナイトカート」だ。通常のレンタルカート場とは違い、本物のサーキットのコースで走れるのが特徴のSUGOのレンタルカートがナイター営業を開始した。全長984mの本格的なコースを、125ccエンジンを搭載したカートで走る。かつてはF1ドライバーの鈴木亜久里や、かのアイルトン・セナも走ったことがあるまさにそのコースを自分の運転で走ることができるのは、クルマファン、レースファンにとって垂涎モノ。
手ぶらで訪れて気軽にカートを楽しむことができるので、会社帰りのストレス発散に利用するユーザーも多いそう。もちろん自動車免許は不要なので、子どもから大人まで安全にスポーツ走行を楽しめる。カップルや家族連れだけでなく、女性がひとりで利用するケースも少なくないという。
この日、夕暮れのSUGOの気温は20度を下回り、やや肌寒い中で指出さんが人生初のカートに挑戦。まずは「カートのエース」として紹介されたモータースポーツ部の池田さんにコースやカートの簡単なレクチャーを受ける。「ラップタイムは人それぞれですが、全くの初心者の方であれば1周2分くらい。早い方は1分を切ります。女性の方だと1分半くらいが目安かなと思うので、まずはそこを目指して走ってみましょう」とアドバイスを受けると、指出さんは俄然ヤル気モードに。
とはいえ走り始めはおっかなびっくり。7歳の頃からカートで走り、様々なレースに出場していたという池田さんに何度も周回遅れをとられていたが、1セット10周を走り終わるころにはペースをぐんぐんと上げる。
チェッカーフラグが振られピットに戻るやいなや、「えっ、もう終わりですか? 楽しい!もっと走りたい!」と興奮の様子。「サーキットを走るのも実は初めてなんです」と話していた指出さんは当初「ちゃんと走る」ことを目標としていたが、気づけば「速く走る」ことに闘志を燃やしていた。
最初の10周では目標とする1分半のラップタイムをキープすることに成功しながらも不満げな表情を見せた指出さんは、2セット目の走り出しから1分15秒を記録。その後も1セット目とはまるで違うアグレッシブな走りを見せ、なんと最後には1分12秒という記録を叩き出した。
これには池田さんも驚いたようで「全くの初心者の女性でこのタイムは、今までいなかったかもしれません。僕の知る限りではトップ3に入るんじゃないでしょうか。3回くらい走れば1分を切れるかもしれませんね」と話すと、指出さんは「嬉しい!」と感激しきり。
「カートを知らずに人生損をしていた気がします(笑)普段はクルマもバイクも、交通ルールの中でちゃんと走ってますが、サーキットで、しかもカートだと全開で思いっきり走れる。最初はビビっている自分もいましたが、好きなように走れるのにメラメラしちゃって。2回目からは、ここはブレーキを踏まないで行こう、とか、ハンドルが重くて回せないから遠心力をもっと使ってみようとか色々考える余裕も出てきて。1分を切る、というも目標もできちゃったし、新しい世界を知れたことが何より嬉しい。バイクとの出会いもそうだったけど、私どうやら乗り物が好きみたいです(笑)」と再訪を誓った。
ナイトカートは当日受付も可能だが、営業日・営業時間はホームページや電話での事前確認がオススメとのこと。ベーシックプランは5分で2500円、スタンダードプランは10分で4000円。小学生限定のキッズプランが5分で2000円となっている。初心者向けには、1周で500円というお試しメニューも用意されているが、池田さんいわく「お試しで走った方はだいたい、もっと走りたくなるのでそのまま通常プランをご利用いただいていますね」と笑顔で説明してくれた。
スポーツランドSUGO周辺には温泉地もあり、サーキット遊びと温泉ツーリングをセットで楽しむユーザーもいるそうだ。SUGO CAFEをツーリングスポットにするもよし、地元の名産を使った看板メニューに舌鼓を打つのもよし、温泉観光の思い出のひとつにナイトカートを加えてみるもよし。指出瑞貴さんも感激したレース観戦だけじゃないサーキットの楽しみ方、試してみてはいかがだろうか。
取材協力:スポーツランドSUGO、ヤマハ発動機