アストンマーティンは9月13日、ブランドを象徴するスポーツカーの『DB5』が、デビュー60周年を迎えた、と発表した。英国で開催された「Goodwood Revivalフェスティバル」では、DB5の血統を受け継ぐ最新作『DB12』とともに展示されている。
◆デビューは1963年9月のフランクフルトモーターショー
アストンマーティンは1958年、『DB4』を発表し、販売面で成功を収めた。しかし、英国内外でのラグジュアリースポーツカーメーカーとの激しい競合により、このブランドがトップの座を守るために、さらなる行動を起こす必要があったという。
そこでアストンマーティンは1963年9月、フランクフルトモーターショーでDB5を発表した。DB5は、先代のデザイン、技術、機器にいくつかの変更を施したものだ。とくにエンジンの進歩により、さらなるパワーアップを果たしていた。
DB5には、2ドアのサルーンとコンバーチブルが用意された。英国バッキンガムシャーのニューポートパグネル工場と本社において、2年余りにわたって生産された。
◆映画『007』シリーズではジェームズ・ボンドとともに活躍
DB5は映画制作会社のイーオン・プロダクションズが、ジェームズ・ボンドの映画『007』シリーズで50年以上にわたり、世界一有名な諜報部員にDB5のステアリングホイールを握らせたことでも知られている。DB5のステアリングホイールを握った著名人は、ジェームズ・ボンドだけではない。
1960年代にDB5の顧客となった著名人の中には、ビートルズのポール・マッカートニーとジョージ・ハリスン、ローリングストーンズのミック・ジャガーが含まれている。コメディアンのピーター・セラーズもDB5を手に入れ、それ以来、ロバート・プラント、ジェイ・ケイ、エル・マクファーソン、ラルフ・ローレンなど、多くの著名人によって、DB5のサルーンとコンバーチブルは愛用されてきた。
実際に、著名人に対するDB5の訴求力が成功の足がかりとなり、アストンマーティンは、ニッチな英国製スポーツカーメーカーからグローバルな自動車メーカーへと成長を遂げたという。
◆最大出力282hpの4.0リットルエンジン搭載
DB5の生産台数は、サルーンが887台、コンバーチブルが123台、職人の手によるビスポークのシューティングブレークが12台。1963年の英国の自動車生産が合計180万台を超えていたことを考えれば、この数字は当時の基準からしても少ないという。
1963年9月のフランクフルトモーターショーに展示されたDB5には、当時としてはパワフルな282hpを発生する4.0リットル(排気量3995cc)エンジンが搭載されていた。これは、DB4の3.7リットル直列6気筒ガソリンエンジンに手を加えたものだ。
282hpのパワーは、顧客の高い期待に応えるために設計された電動ウインドウの採用やオプションでのエアコンの搭載など、技術や機器の多くの変更の一部にすぎなかったという。
◆DB5の最高速は240km/h以上
アストンマーティンが60年前からトレードマークとしているパフォーマンスは、DB5では240km/hを超える最高速に具現化されていた。アストンマーティンの当時のDB5のパンフレットには、「世界一のスピードを誇る4シートGTカー」と謳われていた。
グランドツアラーのDB5は、世界初のスーパーツアラーを標榜する最新のDB12など、その後に登場するアストンマーティン車の基礎を築いた。DB5はパフォーマンス、ダイナミクス、エンジニアリング、テクノロジーにおいて、トップクラスであるアストンマーティンの地位を改めて主張する1台、としている。