2023年上半期も登録車新車販売台数でトップの座はトヨタ『ヤリス』だった。そこでこのヤリスから『ヴィッツ』→『スターレット』と辿った先にあるルーツ、初代『パブリカ』を今回は取り上げてみたい。
◆マイカーへの憧れを身近にした初代パブリカ
1955年に通産省(当時)から発表のあった国民車構想をきっかけに開発されたのが初代パブリカ。1961年(昭和36年)に登場、パワーパックをコンパクトにひとまとめにできるRRが当時の小型車の主流だった中、FFにトライするも開発には技術的な課題も多く、最終的にFRが選ばれた経緯があったという。
トヨタ初だったモノコックボディによりスタンダードで580kgの軽量ボディを実現。空冷2気筒OHVの水平対向エンジンもアルミを用いるなどし軽量化。697ccの排気量で当初は28ps/5.4kg・mを発揮。後に32ps/5.6kg・mに性能向上。さらに790ccに排気量が拡大され、36ps/6.3kg・mに。トランスミッションは4速MTに加え、トヨグライドと呼ばれた2速ATも登場させている。
全長×全幅×全高=3570(スタンダード)×1415×1380mm、ホイールベースは2130mmと、全幅など現代の軽自動車のほうが60mm幅広いほど。2ドアの3ボックスセダンのスタイルはとにかくシンプルで、室内空間、トランクスペース(幅約90cm、奥行き約70cm、高さ約35cmとカタログでも紹介されている)も十分に確保されていた。
スタンダードに対して1963年登場のデラックスでは、フルリクライニングシート、ヒーターなど機能、装備が高められていた。
またバン(1962年)、ピックアップ(1964年)の設定は当然として、4人乗りのコンバーティブル(1963年の登場)が用意されていたのもちょっとした驚きだ。マイカーを持ちたいという当時の多くのユーザーの夢を叶えたクルマだった。