DIYでチャレンジする人も多いオイル交換。最も頻度が高いメンテナンスで最も簡単なメンテナンスのひとつだが、最も危険なメンテナンスのひとつでもある。トラブルを起こさないように改めてポイントを確認したい。
エンジンオイルは抜いて入れるだけ。しかし、だからこそ気をつけたい部分もたくさんある。もしなにか間違えるとエンジンを壊しかねない重大な作業だからだ。ブレーキ周りの作業と違って、止まらなくて事故を起こすということはないものの、エンジンが壊れたら出費は相当なことになる。
◆オイル交換で気をつけるポイント1: 使うオイルの銘柄と粘度
まず次に使うオイルは何にするのか。純正オイルにしても社外品にしてもそのクルマの指定オイルがどういったものなのかを確認しておく。
最近はとくに規格が定められていて、APIのSN規格が適合のエンジンにSM規格のオイルは使えないなど細かい規定がある。これは規格によって成分が定められていて、指定規格よりも下のものだとトラブルを起こしかねない。
あとは粘度も指定のものを用意すること。低粘度入れれば燃費が良くなるわけではなく、低粘度に対応した設計をしたエンジンかどうかが大切なので、これも基本は純正指定粘度に従うこと。純正指定粘度に幅がある場合は、夏なら硬め、冬なら柔らかめなどをチョイスするのはありだ。
オイルフィルターを交換するならこれも信頼性の高いものを購入しておくこと。もしトラブルがあると即エンジンブローやエンジン火災にも繋がりかねない部分なので、有名メーカーのオイルフィルターをチョイスしておきたい。
◆オイル交換で気をつけるポイント2: 抜く前にオイル量のチェック
さあオイルを抜こう! の前にまずはオイル量をチェックしたい。どれくらい入っているのか、どんな色や匂いなのかを確認しておく。距離によってどれくらいオイル消費しているから、入れるときは少し多めにしようとか、こまめな量の確認が必要だな、などさまざまな情報がわかるのでいきなり抜かずにまずはオイルのチェックから。
◆オイル交換で気をつけるポイント3: 抜いたオイルのチェック
どれくらい抜けたかをできれば計測したい。上抜きなら量によっては抜けきっていない可能性もある。下抜きでは先程オイル量の確認をしたが、改めてどれくらいのオイルが抜けてくるかを見ておく。
そして、重要なのはオイルの状態。シャバシャバなのか、色や匂い、そして、金属粉でキラキラしていないかなどを見ておく。
新車時の充填オイルを数百km走行して抜くと、キラキラとした金属粉が見えたり、金属成分が舞っているのが見えることが多い。いわゆる慣らし運転終了の目安と言われる1000kmくらい走ると抜いたオイルからはキラキラな感じもなくなることが多い。
もし、十分に走っているクルマで金属成分が出てきたら、トラブルが起きていて内部が摩耗しているかもしれない。使っていたオイル銘柄を変えたら普通になったということもあるので、抜いたオイルはよく見ておいてもらいたいのだ。
◆オイル交換で気をつけるポイント4: ドレンボルトのトルクとワッシャー
上抜きでは関係ないが、下抜きで最大の気をつけポイントがドレンボルトの締める力だ。最近のクルマはアルミ製オイルパンが増えているいて、強く締めすぎるとネジ山ごとナメてしまうことがある。
必ず規定トルクで締める必要があるのでトルクレンチは必須だ。それも35Nmなどの弱いトルクなのでホイールナットを締めるトルクレンチでは大きすぎて不可。もっと小さいトルクレンチを用意したい。
この時に使うワッシャーはもちろん毎回交換しておくこと。ワッシャーの再利用も漏れたり緩んだりする原因になる。
オイルフィルターも交換したらこちらもトルクレンチで締めること。
そして、気をつけたいのが新車。ドレンボルト周辺の塗装が剥げていないせいか、新車から1回目のオイル交換後などナットが緩みやすい。特に気をつけておきたいところだ。
◆オイル交換で気をつけるポイント5: 入れる量とチェック方法
あとはオイルを入れるだけだが、気をつけたいのは入れる量。基本的にはHに合わせていれるが、それをどのタイミングで確認するかで変わってくる。
基本的にはある程度の量のオイルを入れてエンジンを数十秒回して循環させる。それから5分程度待ってオイル量が落ち着いてからレベルゲージで量の確認をする。
このときにすぐ量を見ると少なめになるので、そこでオイルを足して、翌朝しっかりオイルが落ちたところでみたらHレベルを遥かに超えていたなんてことはよくある。
とくにスバルの水平対向エンジンはヘッドが左右にあってなかなかオイルがオイルパンに落ちてこないので、翌朝見るとすごい量になっていることもある。
そのあたりも考慮した上で、すぐに確認するなら9分目にするなど、車種ごとのクセを覚えてオイルを入れるようにしたい。