日本最大級の消防・防災に関する展示会「東京国際消防防災展2023」が6月15~18日の4日間、東京臨海都心の東京ビッグサイトで開催された。関東大震災から100年を迎えることから、本災害の教訓や現在の震災対策について紹介、当時使用していたクラシック消防車を展示。
展示されたクラシック消防車は製造年順に、馬引き蒸気ポンプ(1860年製)、フォード「T型」消防ポンプ車(1920年製)、ニッサン180型消防ポンプ車(1941年製)、日本機械工業『コメット』(1957年製)、三菱ウィリスCJ-3B消防ポンプ車“じぷた”(1960年製)、アメリカン・ラフランス「900」シリーズポンプ車(1962年製)など。
馬引き蒸気ポンプはメリーウェザー社による艤装。南米ペルーで使用されていたもので、日本の江戸時代末期、1860年=万延元年に作られた。エクアドル・ペルー戦争(1841~42年)の弾痕が煙突に残っているとの説明があったが、1941~42年の間違いと思われる。国内で保存されている消防蒸気ポンプとしては最古のものだそうだ。
T型フォード消防ポンプ自動車は1920年にアメリカで製造され、消防車として完成された状態で日本に輸入された。馬引き蒸気ポンプ、フォードT型、じぷた、アメリカン・ラフランスは東京消防庁のエリアに展示された。
日本機械工業コメットは1957年製のオート三輪消防ポンプ自動車だ。三菱重工業の『みずしま』に日本機械工業が艤装した。みずしまは三菱重工業水島機器製作所が製造した戦後初の量産三輪車で、モーターサイクルと同様に走行用エンジンが前後輪の間に配置され、その上にサドルシートがあり、ハンドルはバーハンドルを装備する。
みずしまのシャシーの後方にポンプ駆動用の三菱製エンジンを、その前方に日本機械工業製ポンプを、さらにその前に日本機械工業製ギヤケースを配置し、それぞれをプロペラシャフトで連結した。当時すでに四輪消防ポンプ自動車もあったが、それよりも廉価で、可搬式消防ポンプより性能が良いことから、好評だった。
●東京国際消防防災展2023
東京国際消防防災展の開催の趣旨は、過去に発生した災害を教訓とした災害対策や多様化する災害リスクを周知し、市民の防火防災意識と行動力を向上させること。またセーフシティの実現に向け、住民・企業・行政による3者相互の連携強化並びに関連技術・産業の振興を促進することを目的とする。
会場には国内外の消防・防災に関する最先端のサービスや製品が一堂に集結した。展示内容は、「消火、救急、救助、避難・誘導」、「防災・減災・災害対策」、「情報システム、通信サービス」、「その他、消防防災に関する製品・サービス」の4分野になる。
11回目となる今回は、325社・団体、1652小間(屋内:1254小間、屋外:398小間。開催前の事前集計)の出展となり、前回を上回る出展者数となった。主催は東京消防庁、東京ビッグサイト、東京国際消防防災展2023実行委員会。