ポルシェ好調の理由は「クルマ」と「人」…75周年祝うオーナーイベントで再発見した“ポルシェの引力” | CAR CARE PLUS

ポルシェ好調の理由は「クルマ」と「人」…75周年祝うオーナーイベントで再発見した“ポルシェの引力”

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ポルシェ好調の理由は「クルマ」と「人」…75周年祝うオーナーイベントで再発見した“ポルシェの引力”
  • ポルシェ好調の理由は「クルマ」と「人」…75周年祝うオーナーイベントで再発見した“ポルシェの引力”
  • ポルシェガレージでの車両展示
  • ポルシェガレージでの車両展示
  • ジャパンプレミアとなった911ダカール
  • 伝説のドライバー、ジャッキー・イクス氏
  • ジャパンプレミアとなった新型カイエン
  • ジャパンプレミアとなった新型カイエン
  • ポルシェジャパンのフィリップ・フォン・ヴィッツェンドルフ社長

ポルシェの名を冠する初のスポーツカー、「ポルシェ356 No.1ロードスター」が誕生したのは1948年のこと。ポルシェAGの創始者フェルディナンド・ポルシェの長男であるフェリー・ポルシェが、自身の夢見たスポーツカーを製作したものだ。

6月8日にロードカーとしての認証を取得した件の1号車は、のちの量産型の356とは異なり、鋼管スペースフレームにフォルクスワーゲン用の1131cc空冷水平対向4気筒OHVエンジンを15hp増の40hpにパワーアップして搭載した2シーターのロードスターは、RRではなくミッドシップである点にも注目だ。車両重量は596kgと軽く、最高速度は135km/hに達し、1か月後には早くもレースでクラス優勝を記録したと伝えられる。

それから75周年という節目を迎えたことを記念し、ポルシェジャパンの主催により2023年6月3日(土)と4日(日)に千葉県木更津市のポルシェ・エクスペリエンスセンター東京において、「ポルシェフェスティバル'23」が開催された。アジア最大のポルシェコミュニティイベントとなる。

我々が参加した初日は、未明まで東京湾アクアラインが強風で通行止めになっていて、行くのが難しいのかもしれないと思っていたところ、出発するころには通行止めが解除になっていてなんとかなったものの、会場についたころはけっこうな雨。それでも朝からこんなにも多くのポルシェとオーナーやファンがやってきているのかと驚かされるほどの状況で、このイベントを楽しみにしていた人がいかに大勢いるかが窺い知れた。来場者は初日が1381人、2日目が1638人と、のべ3019人に達し、初日に278台、2日目には340台の計618台ものポルシェ車が会場を訪れたという。

◆ポルシェミュージアム直送のファン垂涎モデルだち

我々は指定された駐車場にクルマを止めて、シャトルバスで会場に向かった。到着するとエントランスに歴代『911』を中心に何台ものポルシェが展示されているのが目に飛び込んできた。中でももっとも手前に置かれた、1967年から「神奈川県警察」で実際に運用されていたという『912』(911ではない)の高速パトカーがひときわ注目を集めていた。

「ドリーマーズラウンジ」と名付けられた建屋の中に入ると、中央にガルフカラー「917 KH」が展示されていた。917には現存する車両がいくつかあるが、カーナンバー「21」は、1971年のスパ・フランコルシャン1000kmレースで優勝したものだ。

さらには、ポルシェ初のGTSモデルとなる「904 カレラ GTS」や、わずか20台弱が製造されたグループ4マシン「924 カレラ GTR」、1979年のル・マン24時間レースで優勝した初のリアエンジンマシン「935 K3」、“モビー・ディック”として知られる伝説のグループ5マシン「935/19」、1989年の全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権(JSPC)で高橋国光選手らが駆りタイトルを獲得した伝説のグループ Cマシン「ADVAN alpha 962 C」、ポルシェモータースポーツの登竜門等で活躍する「718 ケイマン GT4 Club Sport」、WECでの勝利やル・マン24時間レースでの3連覇で計19回目の優勝をポルシェにもたらしたLMP1-Hマシン「919 ハイブリッド」などが展示されていた。

ドイツ本国のシュトットガルトにあるポルシェミュージアムから、この日のためにわざわざ運んだ非常に貴重なコレクションたちである。また、アーティスト達の夢を形にしたアートカーも展示され、ペイントの様子も実演された。

◆オーナー自慢のポルシェたちが軒を連ねる

レーストラックのコース上にズラリと並ぶのは、ポルシェオーナーやポルシェファンが交流することを目的としたミートアップスタイルのイベント「ポルシェガレージ」に参加する、全国各地から終結したオーナー自慢のポルシェたちだ。これまで東京、京都、富士スピードウェイと、3度実施しているが、これほど多くのポルシェが一堂に会するさまはやはり圧巻というほかない。

今回のテーマは主催者であるポルシェジャパンが選ぶ「Exciting」、「Performance」、「Heritage」という3部門と、観客投票によって選ぶ「Colorful」、「Passion」という2部門の計5部門のテーマが設定され、2日間にわたり10台の受賞車が選ばれた。

中でも初日のPerformance部門に選ばれたのは、台風2号の影響で新東名高速などが通行止めとなった6月2日に神戸を出発し、およそ16時間をかけて会場までやってきたという、タイプ997の911GT3 RSのオーナーだった。

さらに、会場内では『カレラGT』や『918』といったスーパースポーツから、クラシックポルシェや「RWB」が手がけたカスタマイズポルシェまで、本当にさまざまなポルシェの姿が見られた。

◆「日本のポルシェファンの愛を実感している」

天気予報は徐々に回復傾向とのことをうけて、本来は10時に開始予定だったステージイベントが、後ろ倒しで開始されることが伝えられた。朝のうちは激しかった雨足も時間の経過とともに徐々に弱まり、傘をさす人たちも徐々に減っていった。

オープニングでは、MCをつとめるBEDWIN&THE HEARTBREAKERS クリエイティブディレクターの渡辺真史氏と、ラジオや舞台、映画、ドラマなど多岐にわたって活躍中の浦浜アリサ氏が登場。つづいてポルシェジャパンの代表取締役社長フィリップ・フォン・ヴィッツェンドルフ氏が登壇。

まず日本語で挨拶したのち、「こんな天気の中でも美しいポルシェに乗ってきてくれた参加者のみなさまに感謝し、またポルシェの誕生から75周年を一緒に祝福してくれることに感謝します。私が社長に就任して1年近くがたちましたが、日本のポルシェファンのみなさまがいかに熱いハート持っているか、オーナーのみなさまが強い愛情をお持ちであるかを実感しております。とくに日本には素晴らしい状態のクラシックカーがたくさんあります。これは日本市場のひとつの特長だと思います。日本においてポルシェのブランドは非常に長い歴史があります。ポルシェジャパンはさらにこの歴史と伝統を育んでいく活動を今後も継続してまいります」と開催の喜びを語った。

さらに、ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京の所在する木更津市について、「木更津にやってきて2年、市民のみなさまとともにいろいろやってきましたが、まずはこの美しい環境を守ることが非常に大事だと思っています。また、美味しい健康的な食事を提供したいという思いから、小中学校の学校給食に有機米を贈らせてもらったり、我々が来る前からあった木更津ブルーベリーRUNでは、このレーストラックで走っていただいています。今年も10月1日に開催予定で、先ほど市長と私で先頭を走ることを約束したところです。さらには、より多くの人に木更津の魅力を知って欲しいとの思いから、返礼品にも力を入れています。2023年はポルシェの75周年であり、世界のスポーツカーの象徴的存在である911の60周年にもあたります。そろそろ青空が出てきそうですが、今日は存分に楽しんで欲しいと思います。いっしょに75周年を祝いましょう」と続けた。

なお同日、会場では最新のポルシェの同乗体験とレストラン906のランチ2名分含めた新たなふるさと納税返礼品が追加設定される旨も発表された。

つづいて、ステージでは、新型『911ダカール』と新型『カイエン』がジャパンプレミアとして初披露されたのだが、「カーグラフィックTV」の制作チームとの協働による演出に会場にいた多くの参加者たちが非常に興味深そうな様子で大いに喜んでいたのも印象的だった。

◆ルマン&パリダカで優勝経験のある伝説のドライバーも

翌4日には、伝説のドライバーであるジャッキー・イクス氏がサプライズで来訪した。元F1ドライバーであり、ポルシェ956を駆り優勝したル・マン24時間レースと、自身も優勝経験があり、開発に携わった953がパリ-ダカールラリーで優勝するなどポルシェとの関連も深く、両方を制した世界で唯一の人物でもある同氏は、「ポルシェはル・マンでは19回も、パリ-ダカールでも3回参戦して2度の勝利を収めました。オフロードをスポーツカーで走るというのはポルシェにしかできないことです。ポルシェは最高のパフォーマンスを誇っています。それはレースカーだけでなく、皆さまクルマにも共通するものです」とスピーチ。その後、イクス氏は911ダカールのボンネットにサインをした。

続いて、ドイツ本社より来日した、ポルシェAG セールスおよびマーケティング担当取締役デトレフ・フォン・プラテン氏が、この伝統あるクルマとその未来をカタチづくるために日々努力をしており、皆さまがガレージを拡張しなければいけなくなるほどたくさんの魅力的なモデルをこれからもローンチし続けることと、電動化も積極的に進めていく旨を伝えた。

また、自身の1955年製「ポルシェ356 スピードスター」を、日本の“侘び寂び”によってアレンジした作品プロジェクト「356 Bonsai」などで知られるアーティストのダニエル・アーシャム氏が、日本のポルシェチューナー、RWB(ラウヴェルト・ベグリフ)とコラボレーションした新作「RWBA」のワールドプレミアを行なった。

そのアーシャムの大ファンであり、『彼女のカレラ』の作者である麻宮騎亜(アサミヤ キア)氏による、「RWBA」を題材とした作品や、登場する主人公をモチーフにしたラッピングカーも展示。さらにポルシェAGが監修するメディア「Type 7」の編集長テッド・グシュー氏が来日し、4月26日に発売された第4号で特集記事の組まれた生沢徹氏との対談が実現した。

◆ポルシェ好調の理由は「クルマと人」

このところのポルシェジャパンの販売実績は非常に好調といえる。JAIA(日本自動車輸入組合)の発表による輸入車新規登録台数において、ポルシェは高価格帯が中心のラインアップながら近年は年間で7000台超をコンスタントに達成しており、純輸入車ブランドの中でも9~10位が定位置となっている。10年前には5000台に届かず、その少し前には4000台もなかなか超えられなかったとは思えないほどだ。

その要因は、まずはひとえにプロダクトありき。さらには「人」だろう。完成度の高い素晴らしいクルマはもとより、ポルシェ・エクスペリエンスセンターの開設や今回のポルシェフェスティバルに象徴されるこうしたさまざまな取り組みが功を奏し、熱心なファンを増殖させつづけているに違いない。

《岡本幸一郎》

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