「世界一醜い」と言われたフィアット『ムルティプラ』実は癒し系MPVだった【懐かしのカーカタログ】 | CAR CARE PLUS

「世界一醜い」と言われたフィアット『ムルティプラ』実は癒し系MPVだった【懐かしのカーカタログ】

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フィアット・ムルティプラのカタログ画像
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シトロエン『ベルランゴ』、プジョー『リフター』に続き、ステランティスジャパンにとって3番目のMPV、フィアット『ドブロ』が上陸した。そこで同様の実用車として日本市場に導入されたフィアット『ムルティプラ』をカタログで振り返ってみたい。

◆ひと目見たら忘れられないデザイン

ムルティプラの日本市場導入は2003年1月(販売は同年4月)、50年代の『600ムルティプラ』と同じ車名が与えられたクルマとして導入された。とにかくユニークなスタイルが特徴で、当時のニュースリリースにも“道行く人を思わず和ませながらも、ひと目見たら忘れられない印象”などと書かれていた。筆者も日本導入前だったか、イタリアで運転する機会があったが、横断歩道で立ち止まっている人が、和んでいるというより“目を点”にしていたのを目撃した。

とくに独特だったのはライトの配列。フロントガラス直下にあるのがハイビームで、ノーズ部分がロービーム、バンパー部がフォグランプ。何かの昆虫のようにも見え、けれど(夢に出てきそうとは言わないが)このくらい楽しげなルックスはファミリーカーならアリなのでは?と筆者は思っていた。が、後期にかけては、(リヤコンビランプなどとともに)同世代の『プント』などと揃って、恐ろしく平凡な顔まわりに改められてしまった。

後期モデルのデザイン。恐ろしく平凡な顔つきになった

インテリアも楽しげでユニークだった。奇しくも600ムルティプラと同じ6人乗りだったが、2×3ではなく、横3人がけ×2列のシート配列が採用された。前列3人がけはトラックなどならともかく、乗用車では貴重な体験だったから、前述のイタリアでの試乗の際にも、思わず同乗者全員に「はい、次の現場に出発します!」と声をかけそうになった。

ウエストラインが低く相対的に見晴らしのいい運転ポジション、コクコクと決まるシフト、なめらかなステアリングフィール、心地いい乗り味。MPVとしての素性は悪くなかった。ATの設定がなく、日本仕様では1.6リットルエンジン(103ps/14.8kgm)を搭載。

写真では本国仕様のカタログのページもご紹介しているが、楽しげに家族や仲間と乗りましょう、のメッセージが伝わってくる。決して速くパワフルではなかったが、ゆったりとした気持ちで走らせるぶんには、遅いとかトロいとは感じない、気持ちをホッコリとさせてくれるMPVだった。

《島崎七生人》

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