日産自動車と日立ビルシステムは4月12日、軽EV『サクラ』からの給電で約15時間のエレベーター連続稼働に成功したと発表した。
高層ビルやマンションなどでは、停電時にエレベーターなどを稼働させるため非常時電源として蓄電池などを整備する動きが進んでいるが、導入コストなどが課題となっている。日立ビルシステムでは、停電時にEVから給電してエレベーターなどを継続利用できるV2X(Vehicle to X)システムを開発。実用化に向けて準備を進めている。一方、日産はEV活用による社会変革や地域課題の解決を図るべく、2018年から「ブルー・スイッチ」活動を推進。全国の自治体や企業・団体などと共に取り組みを行っている。両社は2023年より、それぞれの持つ技術やノウハウを共有しながら、EVからの給電で停電時のエレベーターを稼働させるV2Xシステムの普及に向けた協創を開始。今回の実証実験はその取り組みの第2弾となる。
実証実験では、日産の軽EV『サクラ』のバッテリー(容量20kWh)からの給電で、6階建ての試験棟に設置されている日立標準型エレベーター「アーバンエース HF」を稼働。外部給電が可能なバッテリー残量10%まで、416回(往復)14時間56分の連続稼働時間を達成した。なお、同条件で『リーフe+』(バッテリー容量60kWh)を用いた場合の理論値は、連続昇降回数1248回(往復)、連続稼働時間44時間48分となる。
日立ビルシステムは、今回の実証実験結果を踏まえ、2023年6月のV2Xシステムの販売開始に向け、詳細な仕様検討などを進めていく。また、日産と日立ビルシステムは、V2Xシステムの普及に向け、今後も取り組みを推進する。