タイヤの「空気圧調整」は最重要セッティング | CAR CARE PLUS

タイヤの「空気圧調整」は最重要セッティング

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“美味しい”空気圧を知ってる? 空気圧調整は最重要セッティング
  • “美味しい”空気圧を知ってる? 空気圧調整は最重要セッティング
  • “美味しい”空気圧を知ってる? 空気圧調整は最重要セッティング
  • “美味しい”空気圧を知ってる? 空気圧調整は最重要セッティング

空気圧はどのクルマでも調整できて、コストが掛からずに、そしてもっとも影響が大きい部位でもある。街乗りでも変わるのはもちろんだが、実はサーキットを走るなら美味しいポイントが2か所あり、その使いこなしでタイムが大きく変わるのだ。

◆空気圧調整こそ、最も簡単で最も重要なセッティング

タイヤの空気圧は大変重要な項目。普段乗りする車両は車両ごとの指定値にきっちりと合わせておきたい。そこでまず知っておきたいのが温間と冷間の空気圧だ。冷間とはタイヤが冷えているときの空気圧のこと。通常クルマのドア回りなどに書かれている指定空気圧もこの冷間空気圧のことを指している。対するのは温間空気圧。こちらはタイヤが温まっているときの空気圧のこと。温まっているというのが、どれくらい熱せられているかの定義が難しいところではあるが、クルマは走ることでタイヤが温められて空気圧が変わっていく。

例えば、指定空気圧が2.2kg/cm2だったとする。それが街乗りでも30分ほど走れば0.1~0.2kg/cm2ほど上昇する。高速道路を30分も走ればさらに上昇し指定空気圧から0.2~0.3kg/cm2ほど上がっていても普通だ。そうなると高速道路を降りた直後にガソリンスタンドで指定空気圧に調整すると、タイヤが冷えたときには0.3kg/cm2も指定空気圧よりも低くなってしまうことがあるのだ。

こうなるとよくない。わずかなことに思われるかもしれないが、タイヤが冷えたまま高速道路に乗ると低い空気圧で高速回転することになる。するとスタンディングウェーブ現象が起きやすい。この現象はタイヤの空気圧が足りないことでタイヤが回転中に波立ってしまい、それによる摩擦でタイヤが壊れてしまうことを指す。お盆やゴールデンウィークによく聞く「高速道路でのバースト」の原因の多くはコレ。空気圧不足から高速回転させられることでタイヤの構造が壊れてバーストしてしまうのだ。なので、指定空気圧への調整は必ずタイヤが冷えているときに行なう。もしくはタイヤが温まった状態で空気圧を見るなら、0.2~0.3kg/cm2ほど高めに調整すること。

◆過酷な環境になるサーキットではもっと空気圧が上がる

サーキットを走ると温間空気圧はもっと上がる。2.2kg/cm2で走行し始めたら、3.0kg/cm2を超えることもあるほど。それほどまでに上がるので、サーキットでは特別な調整が必要になる。主な調整法は2種類だ。

1:指定値に合わせる方法
コースイン時は車両指定値に合わせる。そこから数周走行して空気圧が上がったら、ピットインして車両の指定値まで落とす。その後は15分か20分ほどの枠をそのまま走行。走行後にパドックで指定値よりももっと高くなっているであろう空気圧を再び指定値に戻す、という方法。こうすれば、その日に再び走行するときはそのままコースインすれば、温間での指定値に自然と合わせることができる。

2:事前に空気圧を落とす方法
走行前に温間で2.2kg/cm2をターゲットとして、あらかじめ空気圧を抜いてコースインする方法。走行枠をたっぷり走るためには有効な方法だが、どれくらい空気圧が上がるかは駆動方式によって、前後タイヤで大きく変わるのである程度データを集めておく必要がある。たとえば、FF車なら前後2.2kg/cm2を狙うとして、フロント1.8kg/cm2、リア2.0kg/cm2でコースインするようなイメージだ。前後がどれくらい上昇するかをメモしておけば、次回からは狙った空気圧に前後とも合わせることができる。

◆サーキットでは美味しい空気圧が2ヶ所ある

大前提は車両の指定値や、その前後バランスに合わせることだが、ある程度サーキットに慣れてきたなら空気圧によるセッティングを施したい。

スポーツタイヤがもっとグリップを発生する空気圧はざっくり言えば温間で2.0kg/cm2付近。最近のハイグリップモデルほど低圧で1.7~1.8kg/cm2が美味しい物も多い。中国製などのアジアン系は、タイヤ自体の剛性が低めで2.2~2.4kg/cm2の高めがマッチすることが多い。すべて温間での数値なので、低圧を狙うと冷間1.2kg/cm2とか1.3kg/cm2でコースインすることになり、それはリム落ちやタイヤを壊す危険があるので、そういった場合はある程度温めてから空気を抜いて対応してもらいたい。

そして、実はもっと高圧にもちょっと美味しいポイントがあるのだ。それは温間2.8~3.0kg/cm2付近。空気圧が高くなりグリップ力では劣るが、レスポンスに優れるのがこのあたりの空気圧。ある程度ステアリングレスポンスでクルマの向きを変えていけるなら、ちょっと高めのこの空気圧を試してみる価値はある。

現代のタイヤは基本のグリップ力が高いので、3.0kg/cm2くらいでもいきなりドリフト大会のように横を向いてしまうことは少ない。セッティングに悩んだら試してみる価値のある数値なのだ。


“美味しい”空気圧を知ってる? 空気圧調整は最重要セッティング

《加茂新》

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