◆多様化するSUV市場に対応したブリヂストン「ALENZA」
SUVの市場シェアが拡大の一途を辿っている。国内外問わず、各メーカーのラインナップにおけるSUV比率は高まり続け、販売台数も右肩上がりだ。それに伴って、SUVというカテゴリーで括り切れないほど多様化も進んでいる。
かつてはオフローダー的なクルマがほとんどで、街乗りメインで使う機会がなくても4WDは不可欠だった。ところがいまやFFしか設定していないモデルさえあり、背の高さもボディ形状も様々。つい最近も、トヨタがセダンとSUVをミックスしたような『クラウン・クロスオーバー』を発表し、また新たなジャンルが生まれようとしている。
そうなると、タイヤに対する要求が変化してくるのもまた必然。大きなブロックが並ぶいかにも悪路走破用のタイヤだけでは、全てのSUVユーザーを納得させることはできなくなってきている。そうしたジャンルとニーズの多様化にいち早く反応したのが、ブリヂストンの「ALENZA」である。
◆プレミアムSUVに主眼を置いた2つのモデルを用意
ブリヂストンのSUV専用タイヤといえば「デューラー」がある。こちらもオンロード用/オン&オフ/オフロード用を取り揃え幅広い要求に応えているが、ALENZAは需要が高まるプレミアムSUVに主眼を置いている。
主にオンロードユースを見据えたプレミアムSUVには、2つの側面がある。ひとつは、従来なら高級セダンが担っていた快適なクルマ。もうひとつは高出力エンジンを積んだスポーティなドライバーズカーだ。そこでALENZAは、それぞれの側面を重視して異なる性格のモデルを用意した。
まず、高級車としてのプレミアムSUVには「LX100」を設定。ダブルブランチ型消音器を用いた3Dノイズ抑制グルーブや、摩耗後も高周波ノイズを抑えるシークレットグルーブといった設計技術により静粛性を追求した。また、SUV専用サイドチューニングにより、車体の背の高さに起因するふらつきを低減。加えて、ブロック剛性を最適化した非対称新パタンにより耐摩耗性も実現した。
デューラーのオンロード用モデルであるH/L850との比較では、騒音エネルギーを新品時に22%、60%摩耗時に9%低減、摩耗寿命は5%向上しているという。
◆クルマのプレミアム性を損なわないためにも、タイヤ選びがますます重要に
一方、スポーティモデルとしてのプレミアムSUVに対応するのが「001」だ。ドライ路面だけでなくウェット路面でも高い運動性能が期待される高性能SUVへの装着を想定。ウェットグリップを高めるために、リブ中央の接地圧を高めるマルチラウンド・ブロックを採用した。
ブロック端の角を丸めてエッジの巻き込み変形を制御するチャンファリングや、アルティメットアイによる接地性最適化で濡れた路面での制動性能も向上させている。さらに3D-M字サイプで制動時のブロック倒れ込みを抑えて耐摩耗性を高め、発熱を低減するナノプロテック採用シリカが燃費改善に貢献する。
従来、同様の用途を受け持っていたデューラーH/Pスポーツと比較した場合、転がり抵抗は19%低減、摩耗寿命は1%向上しつつ、全天候の路面状況でスポーティな走りの足元を支えるのだ。
今後は、静かでパワフルなバッテリーEVのSUVがますます増加するだろう。そうしたクルマには、瞬時に立ち上がる大きな駆動力を路面へ余さず伝達し、駆動用バッテリーの重量を受け止め続け、静かなパワートレインが際立たせるノイズを抑えるタイヤが要求される。つまり、クルマのプレミアム性を損なわないために、タイヤ選びがますます重要になるとも言える。世にSUV向けタイヤは数多いが、そんな中でもALENZAの存在価値は一層増していくのではないだろうか。