後続車が適切な車間距離をとらず、後ろから追い立てるように距離を詰められて、恐怖を感じたことのある人も多いのではないだろうか。
2020年6月に厳罰化され、社会問題ともなっている「あおり運転」は、当事者だけでなく周囲の車両や歩行者などにまで危険がおよぶこともある、違反行為だ。悪質なものになると、わざと並んで走って幅寄せをしてきたり、前を走りながら蛇行運転や急停止をして嫌がらせをしたり。最悪の場合には死亡事故に至ってしまったケースもあり、できることなら無縁でいたいのがあおり運転だ。
ただ、あおり運転をするのには何か理由やきっかけがあることも多い。中には、ただムシャクシャしていたとか、機嫌が悪かったからという理不尽な場合もあるが、もしかしたら自分では気づかないうちに、後続車をイラッとさせる運転をしてしまっているかもしれないと、少し自分の運転を振り返ってみることも予防策のひとつだ。
◆CASE 1 余裕の無い割り込みは要注意!
無意識のうちにあおり運転の原因を作ってしまっているかもしれない、そんな運転の1つ目は、無理な割り込み。側道から幹線道路への合流、片側2車線以上ある道での車線変更、駐車場からの出口など。走ってくるクルマの速度を読み違えて、思ったより近づいてしまってから前に入ったことはないだろうか。
その場合、自分では「ぎりぎり間に合った」と感じていても、割り込まれた方のクルマは焦って急ブレーキを踏んだかもしれない。その拍子に、大切に運んでいたケーキが崩れたり、眠っていた子供が起きてしまったり、車内に異変が起こってしまったかもしれない。合流や車線変更は、走ってくるクルマを妨害しないことが鉄則だから、この場合は割り込んだ方に問題があると判断されることもあるだろう。合流や車線変更をする際には、ギリギリだと思ったら見送り、次のチャンスを待ち、十分な余裕を持つことがあおり運転の原因を作らないための予防策だ。
◆CASE 2 不用意なブレーキ頻発は後続車の意識を変える
2つ目は、不要なブレーキを頻発すること。これも後続車をイラッとさせてしまう運転だ。たとえばほとんど信号のない郊外路などで、ブレーキを踏む必要などないところなのに、何度も何度もブレーキランプが点灯すると、後続車はそのたびに「何が起こったのか?」と不安になり、緊張したまま運転することになる。それが長時間にわたれば、神経が過敏になりだんだん攻撃的になってしまうことも少なくない。
なにもないところでブレーキを頻繁に踏むのは、無意識のうちにアクセルを踏みすぎてしまい、速度を一定に保つことができず、すぐに前走車に追いつきそうになるからだ。つまり、アクセルペダルの調整を雑に行っているか、うまくできていないことが原因。常に前走車との車間距離を一定に保つよう、速度を調整する練習をすれば、不要なブレーキを頻発して後続車をイラッとさせることもなくなるはずだ。
◆CASE 3 フラつきの多い運転は相手に不安を感じさせる
3つ目は、無意識のうちに幅寄せしていたり、車線をはみ出してしまう運転。つまり、車線の真ん中を安定して走ることができないということだ。
これは、まだハンドル操作が未熟な初心者にありがちな運転だが、熟練ドライバーでも中央線ギリギリに寄って走るクセがついていたり、よそ見をしながら運転していたりすると、隣りの車線を走るクルマに不自然なほど近寄ってしまっていることもある。それが一度なら「危ないなぁ」で済んだとしても、二度、三度となるとカチンときて「嫌がらせをされている」と勘違いするドライバーもいるもの。なるべく車線の中央を走るように、丁寧な運転を心がけたい。
◆CASE 4 道路の状況に沿わない運転は要注意
4つ目は、周囲のクルマの流れを無視したマイペースな運転。これも、後続車をイラッとさせる可能性が高い。
たとえば追い越しのできない一本道で、流れを堰き止めるように自分だけゆっくりと走る運転は、「制限速度以下だからいいだろう」という主張は間違ってはいないが、前があまりにもガランと空いている状態で走っていれば、後続車としてはある程度流れに合わせて走ってほしいとイライラしてくることもあるだろう。また、自分の車線に路上駐車車両がいるからといきなり右車線に大きくはみ出す運転は、自分では右車線が空いていることを確認したつもりでも、突然のことで驚かせたり、ヒヤリとさせたりしたかもしれない。
上手な運転とは、自分だけがスムーズに走るのではなく、周囲のクルマを危険に陥れたり、余計な操作をさせないことを考えた運転のこと。常に周囲のクルマの動きや流れを観察し、予測しながら運転することが大切だ。
◆CASE 5 高速道路の追い越し車線の使い方は超重要
5つ目は、高速道路で追い越し車線を塞いたり、ずっと居座ったりする運転。片側2車線以上ある高速道路では、左車線が走行車線、右車線が追い越し車線となっていて、基本的には左車線を走行する。速度の遅いクルマを追い越す時にのみ、右車線を走行することになっており、右車線をそのまま走り続けると「通行帯違反」になることもある。
それなのに、そもそも右車線が追い越しのためにあることを知らず、空いているからと走り続けたり、後ろをまったく見ておらず自分より速いクルマが追いついてきているのに気がつかないなど、知らず知らずのうちに後続車をイラッとさせていることがある。高速道路では、基本は走行車線を走るということを覚えておき、追い越し車線では自分より速いクルマが来たら進路を譲ることを徹底したい。
ということで、あおり運転を避けるには、まずこうしたあおり運転の原因になってしまいそうな運転をしないよう、日頃から心かげて走ることが大切だ。でも、それでもあおり運転を受けてしまったら、対抗したり反撃したりせず、安全を確保することを第一に。もし同乗者がいれば、加害車両のクルマの車種やナンバーなどを控え、警察に通報してもらう。1人の時は、安全で人目のある場所を探して停車し、加害車両をやり過ごすか、もしドライバーが降りて威嚇などをしてきても、ドアや窓を開けずに警察に通報し、到着を待つようにする。また、あおり運転の抑止や、万が一被害を受けた際にも役立つのが、ドライブレコーダーだ。最近はあおり運転に対応する機能が搭載されている機種もあるのでチェックしてみよう。
◆煽り運転対策があるドライブレコーダーが登場中!
今回取り上げたあおり運転はもちろんの事、いざというときに役立つのはやはりドライブレコーダーであり、今の主流は前後2カメラや360度+リアカメラなどがある。そしてここ最近増えてきたのが『あおり運転対策』がされているドライブレコーダーで、各社が示すルールの中であおり運転を検知して記録を自動的に残してくれるというものだ。ここではカロッツェリアから発売された最新ドライブレコーダー『VREC-DZ800DC』を例に挙げて、『あおり運転対策』がどういった機能なのかを解説していく。
基本的に『あおり運転対策』がされているドライブレコーダーはリアカメラで捉えた映像から判断して、それがあおり運転なのか違うのかを見極めている。カロッツェリアVREC-DZ800DCの場合だと、上記写真の様に車間が詰まった状態で一定以上の時間が経過するとあおり運転と判断し、前後20秒をイベント録画として通常のフォルダーとは別に保存される。これだと渋滞の時はどうなるの? と思うかも知れないが、この機種の場合は40km/h以上の時に後方車両接近検知が行われ、独自に開発された画像認識技術を用いて速度・距離・時間を最適に組み合わせた高精度な検知が可能になっている。
前方車両の急ブレーキや強引な割り込みによって急ブレーキを踏んだ場合でも「急制動検知機能」が作動しイベント録画としてフォルダーに記録を残してくれる。今のドライブレコーダーは画質が良くなり前後カメラが主流なので付属のSDカードだと録画時間が思ったよりも長くない。もしもトラブルに遭ったときにエンジンを掛けたままだと録画は回り続けるので重要な部分が上書きされてしまう可能性もある。そういったときに必要場面を自動的にイベント録画フォルダーに保存してくれる機種だと安心感は増すだろう。
例に挙げたカロッツェリアVREC-DZ800DC以外にもケンウッドDRV-MR8500も後方からの急接近車や蛇行運転車を自動で検知するAIセンシング機能を搭載していて、自動的に録画保存してくれるので安心だ。
今までのドライブレコーダー選びは高画質・前後2カメラ/360度カメラ・夜間撮影に強いSTARVIS搭載が重要視されていたが、これからは煽り運転自動録画が必須になっていくだろう。