ガソリンに添加する添加剤はおおまかにパワーアップ系とクリーン系に分かれる。そして、忘れちゃいけないガソリンスタンドでよく売られている「水抜き剤」もある。ちゃんと理解して状態や用途に合わせて使用しないと無駄になるかも?
◆水抜き剤もガソリン添加剤のひとつ
ガソリン添加剤の歴史は古い。ベテランドライバーならガソリンスタンドで「水抜き剤」のセールスにウンザリした、なんて方も多いのではないだろうか。
水抜き剤は、温度差等によって結露して、ガソリンタンク内部に溜まった水分を分解。燃料と一緒に燃やして排出することで、燃料タンクが錆びにくくなるというもの。また、水が溜まるとその水が燃料ポンプに吸い込まれて、エンジン不調の原因になった。
だが、最近のクルマはガソリンタンクが樹脂製のクルマがほとんど。タンクが錆びる心配はない。かといってタンクの水を吸い込んで不調になるクルマも滅多に聞かないので、そこまで頻繁に水抜き剤を入れる必要もなさそうだが、今も売られているガソリン添加剤の元祖的存在である。
◆近年は増えているクリーン系とパワーアップ系添加剤
クリーン系添加剤とはエンジン内部を綺麗にするのが狙いのもの。燃焼室やインジェクターなどの綺麗にして、パフォーマンスを回復させる。ポリエーテルアミン(PEA)が主に効果を発揮する成分で、燃焼室、吸気バルブ、インジェクターなどに固着したカーボンデポジットを除去する。それによって本来の性能を取り戻そうというもの。数千キロごとに使うことでエンジンをクリーンに保てるという。
各社から発売されていて、1本2000円ほど。それで満タン1~2回分使用できる。高速道路移動の前に入れたりすると、とくに効果を発揮しやすいという。クリーン系添加剤はエンジン内部を綺麗にすることが目的。結果として吸排気をしやすくして、エンジンパフォーマンスを高める効果がある。だが、直接ノッキングを抑えたり、爆発力を増強することが狙いの添加剤ではない。
◆パワーアップ系はエンジン保護にも有効
パワーアップ系添加剤は、入れることでエンジンパワーを高めることが狙い。耐ノッキング性能を高めて、着火しにくい状態を作り上げる。燃えにくいということは高負荷でも早期着火(ノッキング)しにくい。そうなると点火時期がノッキングによってリタード(遅角)しない。リタードしなければパワーが出る理想的な状態で燃焼でき、より出力を発揮できるということなのである。
つまり簡単に言うと、サーキットでの全開走行時に速くなるのだ。
こういった性能を狙うにはこれまでは専用のガソリンが使われていた。レースガソリンやドラッグガソリンと呼ばれたもので、サーキットを走るタイムアタッカーや、ドラッグレースに参加する人が入れていた。
現在も購入できるが、そもそもこのガソリン自体を事前に購入し、運ばないといけないことが面倒。サーキットでも売っていない。さらに価格が1リットル1000円以上と高価。普通にサーキットを走る人が使うには現実的ではなかった。
そこでパワーアップ系添加剤である。これはガソリンタンクに入れることでオクタン価をアップさせる。そのためガソリンを運ぶ手間もいらない。走行前にタンクに入れるだけである。
それによってパワーアップも期待できるし、ノッキングしにくいということはエンジンへの負担も少ない。サーキット走行時の保険としてパワーアップ系添加剤を入れる人も増えているのだ。
ガソリン添加剤は、入れる相手のガソリンが数種類に絞られるので安定した性能を出しやすい。オイル添加剤の難しさは、オイルの種類が無数にあるので、すべてのオイルとのマッチングが良いかはわからないという点にもある。その点ガソリン添加剤の方が安心して使える。
有名パーツメーカーなどからも多数の種類が発売されている。サーキット走行時のパフォーマンスアップや保険として入れるのも手。長距離ドライブ時にクリーン系添加剤を入れて、エンジンを綺麗にしてみるもの手。
使った後何度か満タンにすれば、前の添加剤と混ざることもないので、異なる添加剤を次々に試してみることもできる。チューニングの楽しさを感じ取れるアイテムでもある。