1980~90年代には印象的な日本車が数多くあった。今回はその中から、スタイルも性能も印象的だった三菱のスポーツ&スペシャルティモデルを振り返ってみたい。◆GTO(1990年)デビュー時の広報資料には“唯一の先例はポルシェ959しかなかったが基本性能と安全性を確保したスポーツカーとして4WDを選択した”とある。ほかにも4WS、4輪独立サスペンション、電子制御サスペンション、ゲトラグ社製マニュアルトランスミッションなども投入。エンジンは3リットルのV6でツインターボ仕様は当時の自主規制上限の280ps/42.5kg−mを発揮。1840mmの圧倒的なワイドボディには、可動式フロントベンチュリカバー/リヤスポイラーを装備した。◆スタリオン(1982年)“スペシャルティスポーツ”の位置づけで登場。車名はSTAR(星)とARION(ギリシャ神話の英雄ヘラクレスの名馬)を組み合わせたもの。デビューに先立ちジュネーブショーにも出品されている。リトラクタブルヘッドライトを採用したスタイルは側面に曲面ガラスを採用するなどし、ヨーイングモーメントを低減させたほか空力に配慮。搭載エンジンのメインは145ps/22.0kgmの性能を発揮するG63B型(シリウス80)4気筒2リットルターボ。上級グレードには当時の人気高性能タイヤ、ミシュランXVSが装着された。87年にはブリスターフェンダー付きの限定車が発売された。◆FTO(1994年)“FTO”の呼称は1971年の『ギャランクーペFTO』から受け継いだものだった。『ミラージュ』をベースにしたFF車で、2リットルのV6(2機種)と1.8リットルの直4を搭載して登場。全幅1735mm×全長4320mmのユニークなスタイリングだったが、筆者はこのクルマのデザイナーをインタビューした際、開発初期のコンセプトパネルに『アルファGTV』の写真が混じっていたのを目撃している。“INVECS-II SPORTーMODE 4SPEED A/T”と呼ぶ、ポルシェの“ティプトロニック”と同様のMTモード付きのATを搭載した。◆エクリプス(1990年)当時提携関係にあったクライスラーとの協業によって生まれた。日本市場では左ハンドルが輸入され、当時の北米のレギュレーションで定められていたシートベルトの自動装着装置(肩ベルトが自動でスルルル……と降りててくるもの)も搭載していた。FFの「GS」と4WDの「GSR-4」の2グレード構成だった。その後2代目(95年)、3代目(04年)と続き、スパイダーは2代目時代(96年、97年)に追加され、3代目ではスパイダーのみの設定に。当時のニュースリリースには“左ハンドルを含めた北米仕様の雰囲気を極力残すことで、ダイナミックなアメリカンテイストを存分に満喫して頂ける仕様とした”と記されている。