【愛車で検証】ネクセンタイヤの実力とは? | CAR CARE PLUS

【愛車で検証】ネクセンタイヤの実力とは?

特集記事 コラム
PR
ネクセンタイヤの実力は本当なのか!? 山田弘樹が愛車を使って検証!!
  • ネクセンタイヤの実力は本当なのか!? 山田弘樹が愛車を使って検証!!
  • ポルシェ 911(933型)純正ホイール
  • ネクセンタイヤ N FERA SU1(エヌフィラ・エスユー1)
  • ネクセンタイヤ N FERA SU1(エヌフィラ・エスユー1)
  • タイヤ取付作業
  • ネクセンタイヤ N FERA SU1(エヌフィラ・エスユー1)
  • ネクセンタイヤ N FERA SU1(エヌフィラ・エスユー1)
  • ネクセンタイヤ N FERA SU1(エヌフィラ・エスユー1)
◆タイヤオタクには見逃せないオファー!?

新進気鋭のタイヤブランド「NEXEN TIRE」(ネクセンタイヤ)から、同社タイヤ試乗の機会を頂いた。しかし先方のオーダーは「乗り慣れているご自身のおクルマでぜひ」とのことだったので、その瞬間に私はダメだと思った。なぜなら私の愛車は、'95年式の旧いポルシェ『911』(993型)だったからである。

リアセクションに水平対向6気筒エンジンを積む911には、ちょっとしたルールがある。その重たいリア・オーバーハング重量を支え、なおかつこれをトラクションとして活かせるだけのグリップ力と剛性(しっかりした構造)が、まずタイヤに求められるからだ。

そしてポルシェ社のテストによってこの要求を満たしたタイヤには「N」マークが付けられる。いわゆる「認定タイヤ」を履くのがセオリーなのである。同じサイズのタイヤでも、911用と市販車用ではその構造が異なるのだ。



当然ながらネクセンにも、私が乗る古い911の「N」マーク付きタイヤはなかった。しかし意外だったのは、ネクセンタイヤジャパンのマーケティング担当氏が「剛性不足を気にしているのであれば、むしろ是非履いて見て欲しい」という返事をくれたことである。

今回テストする「N FERA SU1(エヌフィラ・エスユー1)」はN指定タイヤに劣らない剛性を確保できている。また現行モデルとしてはカイエンとマカンのOEMを皮切りにポルシェAGとも関係を深めているネクセンの技術力をぜひ味わって欲しいというのだ。

……これは面白い。タイヤオタクの筆者としては、見逃せないオファーということで、試乗をさせて頂くことにした。



◆速度域の高い環境では……

さてそんな経緯から試乗することになったネクセンタイヤだが、まずそのブランドイメージを先行させる前に試乗した結果をお伝えしよう。

タイヤ交換を済ませ、走り出した瞬間に感じたのは、意外にも「あっ、このタイヤ、しっかりしている!」という印象だった。そして剛性の背反要素となりがちなロードノイズが、非常に少なかった。

「N FERA」はネクセンタイヤにおけるフラッグシップで、その頂点に「SUR4G」を据えている。ただしSUR4Gは一般公道でももちろん問題はないが、クローズドエリアでのドライグリップ性能を重視したタイヤだから、今回試乗するSU1が、実質的なプレミアムフラグシップタイヤとなる。

しかしここでSU1が面白いのは、ライバルたちよりも経済性を強く謳っていることだった。「エコ・プレミアムスポーツタイヤ」という言い方は少々テンコ盛りに過ぎるけれど、全ての要求を満たすという意味で言いたいことはわかる。そして実際の乗り味に関しても、そこにプレミアム感だけでなく、経済性の高さが強く押し出されていたのである。



SU1はよく転がる。タイヤがグニャグニャと変形せず、クルマがスーッと進んで行く。

転がり抵抗が少ない場合心配されるのはグリップ性能の低さだが、これについても好印象だった。このタイヤはハンドル越しに“ゴム感”を強く訴えるタイプではない。極めて現代的なサラッとした感触なのだが、前後方向(具体的にはブレーキとアクセルオン)のGが立ち上がったときタイヤはグッと路面をつかんでくれるのである。

感心したのは技術説明の段階で担当氏が「ステアリングの切り始めに日本ブランドよりも鈍さを感じるかもしれない」と述べていたことだ。しかしこれは、性能の低さを言い訳しているのではない。むしろタイヤを理解した、深い言葉であった。



速度域が低い日本でユーザーがスポーツタイヤに求めがちなのは、ハンドルを切った瞬間から立ち上がるレスポンスだ。しかしSU1はここの感度が穏やかで、荷重がタイヤに移ってからじわりとグリップを上げて曲がる。

この特性は欧州のような、速度域が高い環境でドライバーに安心感をもたらす。ハンドルを切ってもステアバランスが鋭敏になりすぎず、安心してこれを切って行けるのだ。またコーナーの手前ではアクセルを戻し、ときにはきちんとブレーキングするという運転の基本に、忠実なタイヤの反応と言えるのである。

この挙動を技術的に説明すると、おそらくSU1のコンパウンド特性や構造と同時に、トレッドパターンによって、操舵レスポンスが中庸に抑えられているのだと思う。



◆プレミアムに経済性をプラス、さて燃費性能は?

SU1は、リズムが合うと面白いほど自在感が引き出せ、運転が楽しくなる。911の場合はほんの少しだけフロントエンジン用に作られたタイヤの剛性が勝ちすぎており、アクセルをあまり閉じないシチュエーションでは若干応答遅れが目立つ部分もあった。

これこそが911の特性を理解したNマーキングタイヤの美点なのだが、一方で高い剛性を確保しながらも切り始めがピーキーにならず、パワーオンでリアタイヤ剛性の不安を感じさせないバランスはSU1の素性だ。これが通常のフロントエンジン車なら、かなり欧州的なリニアリティをもって運転できると思う。



また驚いたのは、その燃費性能が、今まで履いていたタイヤよりも2km/Lも上がったことだ! 普段履きは18インチ(フロント225/40ZR18、リア265/35ZR18)ということもある。しかしフロントに205/50ZR17(転がり抵抗性能、ウェット性能共にマーキングなし)、リアには255/40ZR17(転がり抵抗性能B、ウェット性能b)という特異なサイズを履きながら、通常でのドライブになんら支障がない上で燃費が向上したのである。



気になるウェット性能は今回試せなかったが、SU1はドライ性能よりもこれを重視するタイヤであり、マーキング的にも転がり抵抗Aランクを犠牲にせずウェット性能aランクを17サイズ、bランクを17サイズ揃えていることからも、その性能は期待できるだろう。

日本市場においてネクセンは韓国の一新興ブランドだが、実はタイヤ製造会社としては70年以上を誇る長い実績がある。そのベースにはミシュランタイヤのアジア工場というバックボーンがあり、そのリソースを基礎としながらも技術を磨き上げているのである。



世界20カ国、35拠点のグローバルネットワークを誇り、韓国と中国とチェコに工場を持ち、韓国本国とチェコの工場は世界的に見ても最先端のフルオートメーション施設として稼働しているのだ。

そしてこの先進性をもって、NEXT CENTURYの意味を込め「ネクセン」という名称を名乗ったのである。

これまでは流通の少なさからリーズナブルさばかりが目立つネクセンだったが、これからはタイヤの良さ(と、もちろん安さも)から選ばれるブランドに成長して行くだろう。そう思える気持ちの良い試乗だった。

ネクセンタイヤの実力は本当なのか!? 山田弘樹が愛車を使って検証!!

《山田弘樹》

関連ニュース

特集

page top