国内自動車メーカーや2輪メーカー、大手サプライヤーなどのクレイモデラーが集結し、展示や実演をする「カーモデルエキシビジョン2018」が、8月22、23日にナディアパーク(愛知県名古屋市)で開催された。同イベントはJCMA(日本カーモデラー協会)が隔年で開催。各メーカーが実際の業務に使ったモデルや習作を展示するほか、子供たちが実際にクレイモデルを作る「子供カーモデラー教室」、モデラー志望の学生に現役クレイモデラーがマンツーマンで指導する「モデラートレーニング」などを実施している。また今回新たな試みとして、フルサイズモデル製作を実演する「ライブモデリング」も実施。これはホンダ『S660』のスケッチを他メーカーのデザイナーが描き、さらに別のメーカーのモデラーがそれを見てクレイモデルを作成するというものだ。会場ではS660のようでいて、よく見れば異なったスタイリングの軽スポーツカーが作り上げられていった。「子供カーモデラー教室」には、事前に申し込みをした親子が参加。ベニヤとスチロールで作られたクレイバック(中子)にインダストリアルクレイを盛りつけ、オリジナルのミニカーを作るという企画だ。ここでは各社のクレイモデラーが指導員を務めていたが、ときには親子が無言で、黙々とクレイの盛りつけに熱中している姿も。いっぽう「モデラートレーニング」では、1日で1/5スケールモデルを作り上げるという課題に挑み、やや張りつめた空気が漂っていた。JCMAはクレイモデラーの技能の向上や伝承、人材育成を目的として発足した。「もともとは、世界に負けない“ものづくり”ができるように、という目的でスタートしたものです」と増田貢JCMA会長。活動を通じて、企業の垣根を超えたノウハウの共有や社会貢献をしようとしていると説明する。また増田会長はこのイベントについて「クレイモデラーという職業を広く知ってもらうというだけでなく、現役モデラーのトレーニングの場としての価値がある」という。一般の人や子供たちに仕事内容を説明することで、自分が日常的にこなしている仕事の意味を問い直す機会にもなるのだ。あるメーカーのスタッフは「最近入社したクレイモデラーが、子供のころカーモデラー教室に参加したことでカーデザインに興味を持ち、モデラーを志望するようになったと言ってくれた」という。増田会長によれば、カーモデラー教室の後に手紙をくれる参加者が毎回いるという。「自動車産業にはこういう仕事もある、ということを知ってもらうだけでもいい。ものづくりを楽しんでくれることが重要なんです」と語っている。