乗用車の対策から約50年も遅れて始まったバイク駐車場対策が、自治体に広がらない。駐車場施策を担当する国土交通省のお膝元である千代田区でさえ、同省が毎年開催する駐車場対策の内容を知らないと答えた。バイク駐車対策は、2006年に始まった。道路交通法改正で放置駐車対策が民間委託された時だ。同年に駐車場法も改正され、排気量50cc以上の二輪車の除外規定が削除されたことで、ようやくバイクの駐車場について論じられるようになった。四輪車しか駐車できない駐車場や、排気量50ccのバイクしか止められない状況が問題が深刻な都市部ほど続いているのは、その歴史の浅さ故だ。50年以上整備を続けている四輪車とは、積み重ねが全く違う。そのため国土交通省は都道府県の担当者を集めて「駐車場政策担当者会議」を、毎年1回開催。駐車場整備の実施主体である区市町に対して情報が伝わるように努めている。が、それがさっぱり広がらない。例えば国交省は、大型バイクは四輪車駐車場に、自転車とさほど大きさが変わらない小型バイクは駐輪場への収容を促進するべきと、会議で毎年言い続けている。ところが、千代田区の駐輪場担当者は「ここ数年、国交省からの情報はない。50ccバイク以外の駐車は扱っていないので、担当がどこだかもわからない」。翌日になって、別の担当課が登場して「バイク駐車場の不足は認識している。情報共有ができていなかった」と、前言を訂正する有様だった。駐車場政策担当者会議は国交省街路交通施設課が主催し、その内容は都道府県を通じて区市町にも伝えられる。ただ、千代田区の認識では「オブザーバー参加で出席しても発言権はない」ので、「出席はしていなかった。今年度は出席して取組みを考える」と話した。確かに会議出席者は都道府県の担当者が中心だ。都道府県が会議の内容を区市町に伝える必要はある。しかし、その東京都もその仕事を全うしていたとは言い難い。バイク駐車担当である交通企画課物流調査担当は、開催日と会議の通達は、都下の区市町に通知していたが「会議の内容はバス駐車とか(バイク駐車のほかにも)ある。状況によって流す時と流さない時がある」と弁明した。目新しいことは伝えるが、毎年繰り返されることは伝える優先順位を下げていた。駐車場法改正から12年。バイク駐車場は、増やす以前に、その必要性すら理解されていないの現実だ。