良い音を聴きたいと考えて、愛車のスピーカーを交換しているドライバーは少なくないはずだ。または、これからやってみようと思っている方もいるだろう。音の出口であるスピーカーを交換すると、音楽の聴こえ方がガラリと変わる。「スピーカー交換」の有効性は高い。そんなスペシャルな取り組みをしたならば、それをさらに活かし切る“次の一手”にも、ぜひともトライしていただきたい。“次の一手”を実行することで、スピーカーの実力をより引き出すことが可能となるのだ。当特集では、その1つ1つを詳細に紹介している。今回は、「メインユニット交換」をテーマにお届けする。■「メインユニット」を最新の機種に換えると、“利便性”がアップする。ところで、メインユニットを交換できない車種も少なくない。または、インテリアの見た目を変えたくない等々の理由から、メインユニットは換えたくない、と考えている方もいるだろう。そういった方々に向けた内容は次回にお贈りする。今回は、メインユニットの取り外しが可能、という方に向けての情報をお伝えしていく。さて、ひと口に「メインユニット交換」と言いつつも、パターンはいくつか考えられる。まずは、リーズナブルなモデルについて考えていこうと思う。例えリーズナブルなタイプであっても、“次の一手”として「メインユニット交換」はなかなかに有効だ。どんなメリットがあるのかというと…。それはずばり、「使い勝手の向上」である。特に、今お使いのメインユニットが“Bluetooth”に非対応であるならば、これに対応している機種に変えることで、利便性がぐっと向上する。スマホの音楽をワイヤレスで聴けるようになるからだ。コードを繋ぐか繋がないかの差は結構大きい。さらに最新機種では、対応ファイルの幅も広かったり、スマホとの連携もスムーズになっていたり、機能もあれこれ向上している。さらには、2DINのメインユニットを入れることも可能であるならば、「ディスプレイオーディオ」もおすすめだ。近年になって新登場した「ディスプレイオーディオ」は、その名のとおり、フェイスパネルがモニターになっているタイプのメインユニットである。モニターを車内に導入できると、映像系のソフトが楽しめるようになり、さらにはバックカメラも使えるようになる。もろもろ利便性、快適性がアップする。そして最新のメインユニットでは、「サウンドチューニング」機能の充実も進んでいる。「13バンドイコライザー」や、「タイムアライメント」を搭載している機種も増えてきた。最新モデルは、リーズナブルなタイプにおいても、なかなかに高機能化が進んでいるのだ。■ハイグレードな「メインユニット」では、詳細な“コントロール機能”を運用可能に…。続いては、ハイグレードなメインユニットについて考えていこう。当サイトとしておすすめしたいのは、実はこちらだ。ハイグレードなメインユニットでは、「サウンドチューニング機能」がさらに充実してくる。それを活用することで、音楽の聴こえ方を一変させることが可能となるのだ。まず、「タイムアライメント」について解説していこう。これを活用することで、“ステレオイメージ”をがらりと変えることが可能となる。ところで、“ステレオイメージ”とは何なのかというと…。“ステレオ”とは、簡単に言うならば、「音楽を立体的に再現」するための仕組みである。音楽を左右のchに分けて録音し、それを左右の2本のスピーカーで再生することで、音楽が立体的に再現できる。その立体的な音像が“ステレオイメージ”だと理解していただきたい。そして、この効果を十分に得るためには、1つの必要条件がある。それは、「左右のスピーカーから等距離の場所に身を置くこと」だ。ところがクルマの中ではこの必要条件が成り立たない。リスニングポジションが左右のどちらかに寄っているからだ。しかし「タイムアライメント」を操れば、この状況に対処できる。近くにあるスピーカーが発する音に遅延(ディレイ)をかけて、左右のスピーカーから見て等距離の場所にいるかのような状況を、擬似的に作り出せるのだ。なお、上で解説したように、リーズナブルなメインユニットにも「タイムアライメント」が搭載されることが増えてきたのだが、ハイグレードなメインユニットに搭載されている「タイムアライメント」は、少々差がある。ハイグレードな機器でのそれは、ツィーターとミッドウーファーを個別にコントロール可能なので、“ステレオイメージ”をリアルに再現できるのだが、リーズナブルな機器に積まれているそれでは、ツィーターとミッドウーファーが別々の場所に搭載されていたとしても、それらを1つのスピーカーとして扱うこととなる。それでも、これが搭載されていることの利点は大きく発揮されるのだが、ある程度のところまでしか追い込めない。対してハイグレードなメインユニットであれば、より理想的に「タイムアライメント」を運用可能となるのである。■「31バンドイコライザー」で、音響特性の乱れを改善!また、ハイグレードなメインユニットとなると、「イコライザー」もハイレベルだ。リーズナブルなメインユニットでも、上級モデルでは「13バンド」タイプが搭載されていて、これでもなかなかに高機能であるが、ハイグレードなメインユニットでは「31バンド」タイプが装備されていて、詳細な調整が可能となっている。ではなぜここまでのレベルが必要なのかというと…。答は、「車内の音響特性が良くないから」だ。車内は狭く、ガラスやパネルで囲まれているので、音が反射し、これが音響特性に悪影響を与えてしまう。さらにはシートで吸収も起こる。本来ならば全帯域で“フラット”な(均一な)特性であるべきなのに、盛り上がったり、キャンセリングしてしまうポイントが発生しがちなのである。しかしながら「31バンドイコライザー」があれば、キャンセリングには対処が難しいながらも、より詳細に乱れを整えていくことが可能となるのだ。ただし、「タイムアライメント」にしても「31バンドイコライザー」にしても、これを緻密に運用するのはかなり難しい。であるので、ハイグレードなメインユニットを使ってみたいと思ったならば、「カーオーディオプロショップ」の門を叩くことを強くおすすめしたい。せっかくの機能なので、宝の持ち腐れにならないよう、専門家の力を借りるべきなのだ。ただ、プロにお願いしつつも、自分でも積極的にこれを触ってみると、カーオーディオライフはさらに充実する。ハイエンドメインユニットを使うと楽しみも増える、というわけなのだ。カーオーディオでは、「コントロール機能」は結構大きな役割を果たす。「スピーカー交換」をしたならば、“次の一手”として「コントロール機能を充実させる」という観点で、メインユニットの交換を視野に入れても面白い。参考にしていただきたい。さて次回は、メインユニットを交換できない、したくない場合の“次の一手”について考えていく。乞うご期待。