【試乗インプレッション】ヨコハマ「ADVAN dB」新旧モデルを乗り比べ | CAR CARE PLUS

【試乗インプレッション】ヨコハマ「ADVAN dB」新旧モデルを乗り比べ

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ヨコハマ ADVAN dB V552 試乗会
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横浜ゴムのコンフォートタイヤ「ADVAN dB(デシベル)」がフルモデルチェンジし、4代目となった。

初代のdBはアスペックシリーズに設定されたものであったが、先代からは横浜ゴムのスポーツブランドであるADVANのなかの1モデルとして設定されている。つまり、コンフォートタイヤでありながらも走りも重視したモデルである位置づけだ。今回の「ADVAN dB V552」は、走りなどの基本性能はそのままに静粛性や乗り心地を高めることを目的に開発された。

ADVAN dB V552は、まずは265/3518 97W XL~155/65R14 75Hまで24サイズが設定され、今後サイズを増やしていく予定。数多くの車種への適合を狙っている。

トレッドパターンの設計はかなり緻密だ。じつはサイズによってトレッドパターンは2種あるのだが、メインとなる195サイズ以上のトレッドパターンを見ていこう。ストレートグルーブは4本が用意され、そのうちセンターグルーブ(外側から2本目)の両側には溝もサイプもないストレートリブが配され、高い直進安定性とハンドリングを確保している。

◆直進安定性と静粛性が向上

高速周回路を使った試乗では、その直進安定性の高さを実感できた。ステアリングの中立感は非常に高く、センターでビシッと直進状態を保つ。速度を100km/h、120km/h、140km/hと変化させてもフィーリングに大きな変化はない。140km/hからアクセルを急に戻しても安定感は損なわれず、そこからさらにブレーキを踏んでも状況は同じだ。高速走行時からの微少舵角では、適度なステアリング剛性感を保ったままでのレーンチェンジを実現する。FRのセダンであっても、FFのミニバンであってもこの基本特性は変わらない安定性を示してくれる。重心の高いミニバンでも横振れがあまりないのは、なかなか感心させられた。

高速周回路でのノイズはよく抑えられている印象。100km/hでのノイズ、乗り心地ともに十分に高いレベルを得ているが、さらに高い速度域、120km/h、140km/hでのノイズもよく抑えられている。高速域でステアした状態、また、車外で走行音をチェックしていてもノイズが低いことが確認できた。

いかに静かになったか? を確認するために用意されていたのが、新旧タイヤを装着したトヨタ『クラウン』での騒音試験路走行。新旧タイヤの騒音成分は明らかに違った。新しいdB V552のほうが高音成分が抑えられていて明らかに静か。そして乗り心地も異なる。旧型は縦の細かい振動があるのだが、新型はその振動がない。騒音試験路の路面は荒れたアスファルトで、イメージとしては春のスキー場の近くのエントリーロード。冬の間、タイヤチェーンで痛めつけられたような路面であった。つまり、路面としては凹凸がそれなりにあり、タイヤは上下に動かされているはずなのだが、dB V552はそれを上手に吸収していることになる。

静粛性を実現している技術は多岐にわたるが、まず第一にトレッドのデザイン。トレッドのブロックサイズを従来型より小さくすること、隣り合う横溝配置を微妙にずらすことでノイズ周波数をチューニングしている。また、トレッドゴム直下にはサイレント・ベースゴムと呼ばれるゴム層を配置。このサイレント・ベースゴムの厚みをサイズごとに最適化することで静粛性を向上。さらに、構造材となるベルトを幅広にしたり、エッジカバーを採用するということも行われている。横浜ゴムのテストによれば、ロードノイズは32%減、パターンノイズは10%減を実現しているという。

◆ワインディングではADVANブランドの実力を発揮

一般道は郊外路とワインディングでの試乗となった。試乗車は日産『ノート e-POWER』とトヨタ『プリウス』。郊外路では静粛性の高さと乗り心地の良さが確認できた。すでにクラウンで静粛性を確認した後だが、その静粛性の高さには改めて感心するほどであった。

ワインディングに入ると、ハンドリングの良さを実感した。ステアリングレスポンスは高く、切り始めからクルマの向きが素直に変わる。微少舵角から手応えもしっかりとあり、非常に扱いやすい。切り始めから発生したコーナリングフォースは舵角を増していってもそのままなだらかに増し、いつまでも続く印象で懐が深い。ただ、限界に向けてのグリップダウンをもう少しわかりやすくしたほうが、最後の最後の安全性は確保できるかも知れない(まあ、最近のクルマはほとんどトラクションコントロールや横滑り防止装置が付いているので、そうした心配もないというのが実情だが)。コーナリング中にステアリングを左右に振っても、大きく姿勢を乱すこともない適度な過渡特性も持ち合わせている。コーナリング、ドライハンドリングについては、さすがADVANブランドと感じることができた。

最後に試乗したのはウエット路面での定常円旋回。試乗車として用意されたのはクラウンで、タイヤサイズは215/55R17であった。まず新しいdB V552での試乗、コーナー円旋回の限界速度はメーター読み59km/hであった。対する旧モデルは54km/hで、10%弱のほどの限界差だが、限界を超えた状態からアクセルを戻したときの挙動の収まり方がdB V552のほうが自然なフィーリング。旧モデルはアクセルを戻したときにクルマがインを向く動きが少し急だ。また、ウエットブレーキングについても、dB V552のほうが強いイメージであった。おそらく、距離を測れば短くなっていることだろう。

横浜ゴムは今年創業100年を迎えた。その記念すべき年の第一弾として登場したADVAN dB V552は、新しい時代の最初の製品にふさわしい性能を備えていた。

<協力:横浜ゴム>

【ヨコハマ ADVAN dB V552 試乗】旧モデルとの比較で感じた、走りと静粛性の進化

《諸星陽一》

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