【ドライブコース探訪】火の国で“昭和の香りむんむん”の秘境温泉へ | CAR CARE PLUS

【ドライブコース探訪】火の国で“昭和の香りむんむん”の秘境温泉へ

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渓谷の両岸に温泉地が広がる。古めかしさが魅力の杖立温泉。
  • 渓谷の両岸に温泉地が広がる。古めかしさが魅力の杖立温泉。
  • 大分の山岳地帯をドライブ中。
  • 高速からは遠く離れたルートだが、クルーズは快適で距離も稼げる。
  • 久住高原にて。
  • 久住山をバックに記念撮影。クルマはフォルクスワーゲン『ゴルフGTE』。
  • 久住山の大山塊があってもなお素晴らしい空の広がりぶり。
  • 雲が近い。
  • 絶景有料道路、久住高原ロードパークは震災の影響で閉鎖中。何とか紅葉の季節には復活してほしいところだが、被害状況が不明で見通しはわからない。
九州内を南北に移動するさいのメジャールートといえば、宮崎~大分の東海岸ルートと熊本~佐賀の西海岸ルートの2つ。だが、火の国九州のダイナミズムを味わうなら、九州山地の深部を縦貫するサブルートがおススメだ。阿蘇や久住など雄大な景観を楽しめる高原道路、神秘的な雰囲気の山間ルートなど、刻々と変化する景観はドライブをより楽しいものにしてくれるだろう。また、沿線各地には秘境感たっぷりの温泉地も点在しており、ドライブの疲れを癒しながらの旅も可能だ。

筆者はその久住を経由して福岡に至るルートに、滝廉太郎作曲の日本歌曲「荒城の月」ゆかりの地、大分の豊後竹田方面からアプローチした。大分と福岡の八女を結ぶ国道442号線は険しいルートの多い通称“3桁国道”ではあるが、久住エリアはしっかり整備された走りやすい道路。交通密度は低く、信号も少ないため、先を急がずとも流れに乗っていれば1時間あたり50km前後の移動距離を稼ぐことができる。

豊後竹田で豊肥本線と別れ、久住に向けてぐんぐん高度を上げていくと、30分もしないうちにあっけなく久住山麓に到着する。晴天ならば昼間は高原を散策したりアイスクリームを食べたり、夜は降るような星空を360度パノラマで眺めたり(これは本気でおすすめ)と、四季を通じて楽しめるところだ。また、くじゅう花公園では春は芝桜やチューリップ、夏はラヴェンダーやひまわり、秋はコスモスと、多様な花が一面に咲く素晴らしいフラワーパークがある。

その久住の景色をよりダイナミックに楽しむのに格好のルートは、久住高原ロードパークという有料高原道路で、久住連山の山肌が間近に見えるところまで接近できるのだが、残念ながら昨年の熊本震災で被災して以降、今も休業が続いている。早期の復旧を祈る次第だった。

久住から高度を下げ、今度は国道212号線で福岡へ向かう。この道も広くはないが、センターラインあり、片側1車線の快適な街道だ。久住を出て県境を越えつつ4、50分走ったあたりで、山間の渓谷にやおら湯煙の漂う温泉郷が出現する。そこが杖立温泉。火の国九州は全国の温泉の4割近くが密集する温泉天国で、別府(大分)、湯布院(大分)、黒川(熊本)、指宿(鹿児島)などさまざまな有名温泉があるのだが、杖立温泉は高級旅館や遊び場が集まるお洒落な温泉ではなく、昭和の香りがむんむんと漂う古典的温泉だ。

国道から外れ、温泉街へと向かう細い道を抜け、最後に欄干のない橋を渡って無料駐車場にクルマを置く。階段を上がれば、そこは古い温泉旅館街だ。雰囲気はひなびているがもちろん高級旅館もあり、日帰り温泉もお値段、設備ともピンキリである。ゴージャスな温泉に入るのももちろん素敵なことだが、杖立の魅力は実は裏町にあり。クルマも通れないような細い路地裏の先に点在する共同浴場は、豪華さとは無縁だが、秘境感をあじわうにはもってこいの湯だ。

共同浴場で最も大胆なのは神話の時代に応神天皇が生まれたという言い伝えのある元湯。道端にある混浴の完全露天で、入浴料は何とタダ。ほか、男女別浴の内湯として薬師湯、そして江戸時代の肥後藩藩主が愛したという御前湯がある。それらに入るときは料金箱に200円を投入する。最も奥まったところにある御前湯を選んで入ってみた。浴場はごく狭いが、入っているのは筆者1人であったため、何ら不自由はなかった。湯加減は若干ぬる湯で大変に気持ち良く、ドライブ疲れがあっと言う間に吹き飛ぶイメージであった。ただ、山間の温泉は梅雨時にはアブ、晩夏にかけては蚊と格闘しながら入ることになりやすいため、おススメは秋、冬、春の3シーズンである。

こうした九州山地の秘境スポットは高速道路の沿線から遠く離れているところが多いため、なかなか足が向かない場所なのだが、先に述べたように一般道の交通密度が低く、流れが良いため、険路を通らなければ行けない場所は別として、普通はあっけないくらいすいすいと目的地に到達できる。また、そこに至る途中も寄り道したくなるような景勝があちこちにあるので、機会があったらぜひツーリングを試みていただきたいと思う次第である。
《井元康一郎》

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