トヨタ自動車の先進技術カンパニー先進安全先行開発部の松尾芳明主査は1月18日、「オートモーティブワールド2017」の専門セッションで講演し、「完全自動運転車を消費者に届けるまでには最低でも約140億kmの走行テストが必要」との見通しを示した。松尾主査は「今、性能競争の渦中にある自動運転車は、その性能がどれほど優れていてもシステムそのものの安全性や信頼性が伴っていなければ社会に受け入れられることは難しいと思われる。自分自身が安全だけでなく、周りの人も安心する、そのためには膨大な走行試験で得られる実証データが必要」と指摘。具体的には「事故を起こさない完全自動運転車を消費者に届けるまでには最低でも約140億kmの走行テストが必要ではないかと考えている。この距離は実走行だけでは不可能で、シミュレーション技術を開発して、それを駆使しなければならないと思っている」と述べた。そのうえで「シミュレーション技術はいかに多くの走行シーンのデータを取得できるかということがカギになる。そのために開発段階のデータ、実社会での走行データなどで走行パターンの正解付きの映像を造る。開発車両のデータだけでは当然データ量として不足するので既販車でのデータ取得も必要になる。例えば走行距離の長いタクシー業界などと連係してデータを蓄積することも選択肢のひとつだと考えている」と語った。