住友ゴム工業は、10月25日に開幕したIRC 2016 Kitakyushu「国際ゴム技術会議 北九州」にて、NMR(核磁気共鳴)装置を用いる独自の解析手法により、パラゴムノキより採取された天然ゴムの末端基構造を解析した研究成果を発表した。天然ゴムはパラゴムノキから採取される農産物で、タイヤの原材料として古くから使われている。しかし、ゴム特性に影響する天然ゴムの分岐構造を形成する末端基(ω末端、α末端)の詳細構造について今まで解明されていなかった。今回、天然ゴム原産地での化学処理に加え、大阪大学のNMR装置を用いることで、末端基の微弱なNMR信号を検出が可能になった。さらに複数のNMR測定法を用い解析することで、それらのNMR信号パターンに合致する化学構造を探索、末端基構造の解析に成功。天然ゴムのω末端はジメチルアリル基、α末端の構造は4つの異なる構造の混合物で、これらの構造のうち2つが分岐構造やゲル形成に寄与していることがわかった。今回の研究成果により、タイヤの低燃費性能、耐摩耗性能の向上につながる天然ゴムの性能向上や、加工性の改善が期待される。