矢野経済研究所は、車載用リチウムイオン電池(LiB)の世界市場の調査を実施。その結果を「2016年版 車載用リチウムイオン電池市場の現状と将来展望」にまとめた。調査は自動車メーカー(日本、欧州、米国、韓国)、車載用LiBメーカー(日本、韓国、中国)を対象に、2016年5月~8月の期間、同社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリングならびに文献調査を併用して行った。調査結果によると、2015年の車載用LiB世界市場(搭載されたxEV生産ベース)は、前年比110.1%増の2万7853MWhと大きく伸長した。環境汚染問題の改善を図る各国政府のEV普及政策を受け、中国を中心にPHEVとEVの販売が急拡大したことが車載用LiB市場の成長に大きく貢献。2016年も同様の傾向は続いており、2016年の車載用LiB世界市場は、前年比41.3%増の3万9349MWhと見込む。2015年の車載用LiB世界市場をタイプ別でみると、EV向けが2万4112MWh(構成比86.6%)、PHEV向けが3303MWh(同11.9%)、HEV向けが438MWh(同1.6%)と、EVおよびPHEV向けが車載用LiB世界市場全体の98.5%を占めた。EV向けは、各国政府のEV普及政策が追い風となり、特に中国では、100~300kWhの大容量LiBパックを用いる電気バスの販売が拡大したことが市場を牽引。PHEV向けは中国のPHEV販売が好調だったことに加え、複数の欧州自動車メーカーを中心に新車の販売が相次ぎ、PHEV市場の伸びに比例してPHEV用LiB市場も高い成長率で推移した。各国の環境規制が厳しくなる中で、自動車メーカー各社はxEV新車の市場投入を相次いで計画。また、xEV市場拡大を牽引している各国政府のxEV向け補助金や優遇政策が2020年まで継続することや、米国カリフォルニア州のようにxEVの販売義務比率を徐々に高めている地域があることなどから、xEV市場は2016年以降も安定成長し、2020年における車載用LiB世界市場は、2015年比約5.6倍となる15万5430MWhに拡大すると予測する。