トヨタ自動車とスズキは10月12日、業務提携に向けた協議を開始すると発表した。トヨタはダイハツ工業を8月に完全子会社化し、マツダとは包括提携しているが、豊田章男社長は「仲間づくりは常にオープンな姿勢で検討する」との考えを示した。豊田社長は同日、都内で開いた共同会見で「1社が個別に技術開発を進めるというだけでは限界がある。さらにインフラとの協調、標準化に向けた仲間づくりなど、他社との連携が重要な要素となってきている」と指摘。そのうえで「同じ志をもった仲間づくり、それが『もっといいクルマづくり』と自動車産業の発展に役立つ取り組みであれば、我々は常にオープンな姿勢で検討したいと考えている」と強調した。ただ今回、提携に向けた協議を開始することになったスズキとダイハツとは軽自動車市場で鎬を削る状況にある一方で、提携の中身次第では独占禁止法に抵触することも想定される。まずダイハツに関して豊田社長は「ダイハツは1967年の提携当初から50年にわたって一緒にやってきた歴史のある会社。長い歴史を共にしてきたダイハツだからこそ、トヨタの小型車事業をお任せしようと考えた」と説明。スズキとの関係については「スズキは独自の戦略で未来を切り開いてきた素晴らしい会社と思っている。まだお見合いの段階であるので両社にとって、また自動車産業の発展にとって何ができるのか、これから考えていきたい」とした。さらに独禁法との関連では「そうした法規制の観点も十分に踏まえて進めていこうと考えている。また具体的な内容についてはダイハツも含めて両社間で公正かつ自由な競争を行うことが前提なので、必要であれば公正取引委員会等に相談してまいりたい」と述べた。一方、昨年に5月に包括提携で基本合意し、現在もその具体的な協業について話し合いを進めているマツダと、今回のスズキとの提携の違いについて豊田社長は「変わらない点は、もっといいクルマづくり」としたうえで、「それぞれに車会社の思想がある。それぞれに得意な分野がある。トヨタはいろんな形でBMW、マツダ、スバル、ダイハツ、そして今回スズキと、いろんなところからまだまだ学ぶ点ということの方が多いと思っているので、いろんな形で学ばさせて頂きたい」とし、さらなる他社との連携に含みをもたせた。