2月28日に行われたトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談は、大勢の報道陣のカメラを前に激しい口論を繰り広げたあげくに決裂し、ウクライナへの軍事支援の停止を検討しているとの報道もあり、しばらく厳しい局面が続きそうで気掛かりだ。
一方で、トランプ米大統領の高関税政策が、自動車分野にまで波及する様相が深まってきたことも気がかりである。高関税策を乱発してきたトランプ氏は、新たに自動車に25%前後の関税を課す方針を示唆。対象国は不明だが、1か月後の4月2日に詳細を発表するそうで、輸入が多い日本車も対象になるとの見方は強く、自動車業界などの危機感は高まっている。
きょうの読売も社説で「米自動車関税」をテーマに取り上げており、「日本経済全体への打撃は甚大だ」としながら、「政府は、米国に自制を促すとともに、日本が適用の対象外となるよう交渉しなければならない」と強調している。
さらに、社説では「自動車関税が、サプライチェーン(供給網)に大きな混乱を招くことも懸念されている」として「メキシコやカナダと米国の間では製造過程で、国境を複数回越えて運ばれる部品が多いという。その都度、高関税がかかれば、価格は大幅に上昇してしまい、米自動車メーカーにもマイナスだ」と指摘。
「トランプ氏は生産拠点の国内回帰を促したいのだろうが、世界最高の賃金水準にある米国での生産を増やすのは容易でない。当面は米国内のインフレを加速させ、消費者が苦しむだけではないか」としつつ「日本や欧州などは米国が受ける弊害を説き続けていくべきだ」とも言及している。
武藤経産相も3月中に訪米し、日本を対象から外すよう、米政府と交渉する考えのようだが、合意するための火花を散らす議論はともかく、不本意ながら妥協せざるを得えないような最悪の事態だけは避けなければならない。

2025年3月3日付
●社説、米自動車関税、日本が対象なら打撃を免れぬ(読売・3面)
●エアタグ仕込まれレクサス消えた、個人売買2週間後、位置情報知られ盗難(朝日・26面)
●東京メトロ車両の断熱塗料、石綿検出基準値超え (東京・23面)
●偽情報対策「企業責任」57%、「個人」に並び最多、郵送世論調査、ネット発達、良い・悪い拮抗 (日経・1面)