ホンダは11月29日、先端技術研究を担うホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン(HRI-JP)のAI搭載コミュニケーションロボット「Haru(ハル)を、スペイン・セビリアのヴィルヘン・デル・ロシオ大学病院が正式導入すると発表した。
この取り組みは、長期入院中の小児がん患者の生活の質向上を目指すプロジェクトの一環として実施される。セビリアで開催された小児がん撲滅イベント「Annual Gala against Childhood Cancer」において、同病院からHaruが紹介された。
全高30cmのHaruは、表情豊かなコミュニケーションを通じて人々を笑顔にし、人間との共感的な関係を形成することを目指している。カメラやマイクの情報から人間の表情や声のトーンなどを分析し、それに応じた共感表現や感情に寄り添った受け答えが可能だ。
Haruはロボットであるため、性別・人種・国籍などの属性を持たず、中立の立場でコミュニケーションできる。そのため、世代や文化を越えて効果的にコミュニケーションを促進できるという特徴がある。
ヴィルヘン・デル・ロシオ大学病院では、2021年から小児がん病棟でHaruの実証実験を行ってきた。一定の効果が確認されたことから、今回10台のHaruを正式に導入し、小児がん病棟のさまざまな場面で活用していく予定だ。
HRI-JPは、ロボットが人のパートナーとして共生する社会の実現と、人と人をつなぐコミュニケーションの促進を目指している。Haruの導入により、長期入院を余儀なくされる小児がん患者の心理的ケアや生活の質向上に貢献することが期待される。
この取り組みは、医療分野におけるAIやロボット技術の活用の可能性を示す先進的な事例となる。