2月17日と18日、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催されたノスタルジック2デイズ。マツダブースでは1970年の実験車『RX500』とプロトタイプの『コスモスポーツ』という2台のロータリー車が熱い視線を浴びていた。
RX500は1970年の第17回東京モーターショーに出展された実験車だ。世界初の2ローター・ロータリーエンジン(RE)を搭載したコスモスポーツの後継車の中のひとつとして製作された1台。
『ファミリア ロータリークーペ』の10A型REレーシング仕様を乗員後方に搭載、後輪を駆動するリアミドシップ・レイアウトを採用し、プラスチック・ボディや跳ね上げ式ドアなど斬新な技術的工夫がなされている。デザインは、後に『ユーノス・ロードスター』も手掛け、マツダの初代デザイン本部長となる福田成徳氏によるものだ。
スーパーカーブームに乗って世界中のモーターショーや全国のマツダ販売店などで展示されたが、ブームが下火になるとマツダの倉庫に保管されて”幻の車両”として眠りにつくことに。その後の2008年、ヌマジ交通ミュージアム(広島市交通博物館)によってレストアされ、今も管理・展示。2023年には広島マツダOBや現役若手エンジニアなども加わってエンジンがオーバーホールされ、走行可能な状態に修復されている。
結果的にRX500は量産されることはなく、世界に1台だけのロータリー・スーパーカーとなったが、そのマインドは初代『RX-7』などへと脈々と受け継がれていく。そんな貴重な実車を前に見学者は引きも切らず、多くの人たちが写真に収めていた。
もう1台、展示されていたのはプロトタイプのコスモスポーツ。発売前年の1966年、北海道から九州まで全国各地のマツダディーラーに計47台の試作車を送り込んで、大規模な社外委託実験が行われたうちの1台だ。
この個体は兵庫のディーラーに配車され、六甲や名神道などで実走テストが繰り返された試作車。ブースの担当者によれば、子供の頃に六甲でこの車を目撃したという来場者もいたというから驚きである。
特別にドアを開けてもらったが、7連メーターではあるものの、後の市販車とは異なった配列などが興味深かった。また、尖ったバンンパーや、宇宙をイメージさせるようなCピラーのエンブレムなども異なり、マツダファンをはじめとしたマニアたちの熱視線を浴びていた。