エンジンで燃焼するための空気を導くインテークとエアクリーナーフィルターのカスタムは走行性能向上に直結する。それでいて車検に抵触しないので気軽にできるカスタムだ。
エンジンに空気を吸い込み、そこにガソリンを噴射して点火プラグで火を付けてクルマは走っている。このエンジンに吸い込まれる空気を導くのがインテークで、その空気をろ過するのがエアクリーナーだ。
エンジン内部に入る空気にゴミが混ざっているとエンジンはダメージを受けてしまう。そこでフィルターでろ過している。
純正フィルターは紙製などが多く、そこでホコリやゴミなどをろ過する。しかし、このろ紙が吸気抵抗になっていることは否めない。そこでフィルター自体をもっと効率の良いものにしようというカスタムや、そもそものインテークシステム自体を変えてしまうというカスタムもある。
◆エアクリーナーカスタム1:純正交換フィルター
純正インテークシステムに入っているフィルターだけをアフターパーツに交換する方法。もっとも手軽でコストも数千円から1万円弱。装着もDIYで簡単にできることが多い。アフターパーツメーカー製のフィルターはろ紙の面積が増えていて抵抗が少なくなっていたり、フィルター自体をスポンジ製などにして抵抗を減らしていることもある。
通常は汚れてきたり、ある程度距離を走ったら交換するものだが、モノによっては洗浄できるものもある。水で洗って乾かしたり、そこにオイルを塗ってフィルターを湿らせることでゴミを吸着しやすくしている場合もある。そういったものは湿式フィルターと呼ばれている。
気をつけたいのは乾式フィルターは洗浄不可ということ。似たような感じなので乾式のフィルターを水洗いする人もいるが、ゴミがむしろフィルターに詰まっていしまって効率が著しく落ちることがある。汚れが気になるなら交換するか、ときどきコンプレッサーのエアで内側から外側にゴミを吹き飛ばすくらいにしておきたい。
◆エアクリーナーカスタム2:ムキ出しフィルター
もっと吸気効率を高めたいなら純正インテークボックスを外して、ムキ出しタイプのエアクリーナーを取り付けることが多い。このタイプは昔からあるオーソドックスなカスタムパーツでインテークパイプを太くしたりして、そもそものシステム自体の効率アップを狙っている。
フィルター自体も円形で表面積を増やすことで効率アップを狙っている。エンジンからの吸気音が特に聞こえやすくなるので、サウンドチューンとして取り入れることも多い。アクセルを踏んだときに「クオーン」という吸気音が響くことでレーシーさがアップするという意味では効果が高い。
気をつけたいのはエンジンルームの熱気を吸いやすいこと。エンジンルーム内の空気をそのまま吸ってしまうと吸気温度が上がりやすい。吸気温度が上がるとエンジンECUがそれを感知。温度が高いということは空気が膨張していて、エンジンに吸い込まれる酸素の量が減ったとECUが判断してしまい、エンジンパワーを絞られてしまう。とくに近年のクルマはその反応が顕著なので吸気温度は少しでも低いほうがパワーが出る。パワーが出るということは少ないアクセルの量で走れるので燃費にも有利に作用するのだ。
そこで各社パーツメーカーからは隔壁がセットにされていたり、専用のダクトで外気をダイレクトにムキ出しエアクリーナーに当たるようにしたりと工夫されている。それらのパーツもセットで活用したい。
また、ここまで大幅にインテークシステム自体が変わると気になるのはエアフロメーター。エンジンに食い込まれる空気の量を測定しているパーツで、そこへの空気の当たり方が変わるとエアフロからの測定値が変わり、燃料の噴射量なども変わってしまう。
大手メーカーのインテークシステムであれば、そういったことも考慮してデザインされている。ところが安価に買える海外製インテークシステムだとエアフロメーターがバグを起こしてしまうこともある。燃料の量が正しくなくなってしまうので、エンジンブローにつながる可能性もあるので吟味して選びたい。
◆エアクリーナーカスタム3:インテークシステム交換
最上級となるのがインテークのシステムごと変えてしまうパターン。純正のエアクリーナーボックスのようなものをカーボン製などで作られていることが多く、よりダイレクトに取り入れた外気を太いパイプでエンジンに送り込むようなデザインになっていることが多い。内部には面積の広いフィルターが入っていて、ここでも抵抗が少なくなるように設計されている。
こちらも大幅に空気の流れが変わるので、場合によってはECUの書き換えチューンが必要になることがある。そういった場合は装着と同時にECUの最適化が必要になるので、プロショップにてセットで施工してもらうことが必要。
純正のエアクリーナーシステムは大雨などでもできるだけ雨水を吸い込まないように配慮されている。カスタムパーツのインテークではそういったことよりも効率が重視されているので、冠水路は持ってのほかだが大雨でもエンジンに雨水が入り込むことがある場合もある。なので、そういったシステムを装着していることを認識した上で台風や線状降水帯が発生しているときにはクルマに乗らないなど、適切な判断をしてカスタムパーツと付き合ってもらいたい。