カーオーディオシステムの構築法はさまざまある。当特集では、その1つ1つの利点や不利点、そして楽しみ方のポイント等々を解説してきた。現在はスピーカーレイアウトについて考えている。今回は、「スーパーマルチウェイ」にフォーカスする。
◆「フロント4ウェイ」以上が選択されることが増えている!?
ここまでは、「コアキシャルスピーカー」、「フロント2ウェイ」、「フロント3ウェイ」について考えてきたが、最近はそれ以外のスピーカーレイアウトが選択されることも珍しくなくなってきた。「フロント4ウェイ」とか「フロント5ウェイ」というような複雑なスピーカーレイアウトが敷かれたオーディオカーを、サウンドコンテストの会場で見かけることが増えている。当記事ではそれらを「スーパーマルチウェイ」と呼び、これの利点や不利点について説明していく。
ところで「スーパーマルチウェイ」は実は、かなり以前から実践されている。古くは2000年代にも行われていた。ちなみに当時の「プロセッサー」はフロントスピーカーのマルチ制御は「3ウェイ」までしか行えなかったので、デジタル制御とアナログ制御とを組み合わせて実行されていた。例えば「ツイーター」と「ミッドレンジ・ハイ」への音楽信号の帯域分割は「パッシブクロスオーバーネットワーク」にて行い、「デジタル・プロッセッサー」ではその2つを1つのスピーカーとして扱ってそれも含めてあと「ミッドレンジ/ロー」と「ミッドウーファー」の計3つを「フロント3ウェイとして制御する、というような形が取られた。このようなやり方は、以後も度々実行された。
◆「プロセッサー」の性能が上がり、その能力を使いきりたいと考える愛好家が増加中!?
ところが近年は、10ch以上をコントロールできる「プロセッサー」もいくつか発売されている。なおそれらは、「フロント3ウェイ+サブウーファー」に加えて、「センタースピーカー」や「リアスピーカー」を制御することも想定されているのだが、もちろん「スーパーマルチウェイ」も組める。となると、それをやってみたいと考える愛好家も当然ながら現れる。というのもカーオーディオは創意工夫を発揮して音を良くするところも楽しみどころとなるわけで、できることが増えればそれにトライしてみたくもなる。こうして、ここに来て「スーパーマルチウェイ」が実践されることが増えてきたのだ。
さて、具体的にはどのように行われているのかを紹介していこう。今回は、フロント4ウェイ」について見ていく。なおそれについても実践方法はいくつかある。まずは、「スーパーツイーター」をプラスするという方法がある。これは「ツイーター」の担当する帯域よりも高い音を担当するスピーカーを置くというものだ。なので「スーパーツイーター」では、人間の可聴帯域の上限とされている20kHz以上の超高音までが再生されることが多い。そうすることで、全帯域の音質が良い方向へと変化するからだ。音は超低音から超高音までが影響しあうので、超高音の質が上がるとそれが全体へと波及する。「スーパーツイーター」は、それを狙って導入される。
◆「スコーカー」、または「サブウーファー」が追加されることもある!
また、「フロント3ウェイ」の「ミッドレンジ(スコーカー)」の担当範囲が2分割されることも多い。つまり「ミッドレンジ/ハイ」と「ミッドレンジ/ロー」が設定されて、音楽のもっともおいしい部分である中音域をより高解像度に、情報量多く再生することが目指される。
なおこの場合には、「ミッドレンジ/ハイ」にて「ツイーター」の再生範囲の下側がカバーされたり、「ミッドレンジ/ロー」にて「ミッドウーファー」の再生範囲の上側がカバーされたりもする。使用するスピーカーの個性に合わせて、さらには狙いに応じてさまざまにチューニングされる。
また「サブウーファー」がもう1つ足されることもある。そうすることで「ミッドウーファー」の担当範囲の下側と「サブウーファー」の担当帯域の上側をよりスムーズに再生しようとするわけだ。なお「サブウーファー」はトランクに積まれることが多いわけだが、小型薄型の「パワードサブウーファー」がフロントに積まれることもある。
ただし、「フロント4ウェイ」はハードルが高い。まず、サウンドチューニングの難易度が上がる。ケアすべき項目が増えるからだ。そしてユニット代もかさむ。スピーカーユニットが増え、必要なパワーアンプのch数も増える。そしてパワーアンプの台数が増えればインストールの手間も増える。
しかしながらもろもろが上手くいくと最終的なサウンドクオリティは上昇する。興味があれば、いつかはトライを。
今回は以上だ。次回は「サブウーファー」を追加するシステム構築法について考える。お楽しみに。