2021年の4月より本格的に運用が開始された「ETCX(イーティーシーエックス)」。利用可能な施設数が増えれば便利であることは間違いないこの新サービス。今回は改めてこれが何なのか、そして現状はどうなっているのかをリポートする。
◆ETC技術を活用して各種料金支払い
まずは「ETCX」とは何なのかを説明しよう。これは駐車場などの高速道路以外の施設で「ETC」技術を活用して料金支払いなどを行えるサービスだ。ソニーペイメントサービス、メイテツコム、沖電気工業の3社が共同で2020年10月に設立した「ETCソリューションズ」が主体となり展開されている。なお上記の3社の他に、中日本高速道路、三菱プレシジョン、オリエントコーポレーションの3社も協力会社として名を連ねている。
ちなみに試行運用は2017年から駐車場やファストフードのドライブスルー等々で始められていた。そして2021年の4月よりいよいよ、本格的に会員登録の申し込み受け付けが開始されている。
◆ユーザーは今の車載器とカードでOK
というわけで当サービスを利用するには事前の会員登録が必要だが、新たに費用はかからない。今使っている「ETC車載機」と「ETCカード」がそのまま使えるからだ。そして、登録料や年会費も発生しない。
一方、対応店舗や施設ではそこそこに初期費用がかかる。「ETC」の設備を新たに設置しなくてはならないからだ。
ところで使用に際しては1つ、注意点がある。それは「一旦停止が必要となること」だ。というのも「ETCX」では設備の仕様が一部簡略化されている。設備投資のハードルを下げるためだ。なのでノンストップで通過できない。でも、対応が見込まれている店舗や施設ではそもそも一旦停車する必要がある場合が多いので、このことが不便だと感じられるケースは少ないはずだ。
◆地上側で設備コストが必要
さて、「ETCX」は他のキャッシュレス決済と比べても利便性が高い。料金支払・精算時にクレジットカード等の受け渡しやスマートフォンの操作などが一切不要だからだ。なので、利用可能な施設が増えれば、これを利用したいと考えるドライバーは多いに違いない。
しかし対応可能な施設の数は徐々に増加しているものの、まだまだ少ない。この記事を書いている2023年8月21日現在で、有料道路の料金所が7か所、駐車場が1か所、ガソリンスタンドが2店舗、そしてゴミ処理施設が1か所、以上の計11か所にとどまっている。
対応施設数がなかなか増えないのはやはり、設備費がかるがゆえだろう。しかし普及が広まれば、「ETC」を既に使っているドライバーならこれを活用しない手はない。もしもお近くに「ETCX」のロゴが掲出された店舗や施設が出現したら、会員登録をする価値は大だ。