自動車修理において「塗装」はとても重要。鈑金やパテ埋めを行った補修跡が目立たないように、新車時のような塗装面(新車肌)に仕上げるには、熟練の塗装職人でも容易ではなく、塗装技術の習得は難易度が高い。
だからこそ自動車専門学校をはじめ鈑金塗装工場などでは、塗装スタッフの技術・技能向上のために研修を行う必要がある。しかしながら、技術レベルが高い塗装講師の不足などで新人教育が上手くいかず悩みを抱えていたり、価格が高騰する塗料を研修で使用するとコスト高になり、環境負荷も懸念されるなど、さまざまな課題があるのではないだろうか。
そういった課題に着目し、韓国企業のBRTECH CO., LTD.が開発した塗装シミュレータ『E-CO PAINTER』が、3月7日~9日に東京ビッグサイトで開催された、自動車アフターマーケットの国際展示会「第20回 国際オートアフターマーケットEXPO 2023(IAAE2023)」で展示された。
塗料&塗装ブース不要「エコな塗装シミュレータ」
エコ塗装シミュレータ「E-CO PAINTER」は、専用の圧力センサーディスプレイガンを、E-CO PAINTER本体(3Dオブジェクトディスプレイ)に向けて、スプレー塗装するように操作すると、水または空気圧センサーが反応してE-CO PAINTER本体に、塗料を吹き付けたようなデジタル表示が現れる。
圧力センサーディスプレイガンで操作したすべての動き(スプレーガンを握る圧力、角度、吐出量、距離速度、重なり、流れ、ムラなど)を、E-CO PAINTER本体に搭載された精密なトラッキング技術でデータ化し、塗装のクオリティを採点。採点結果は専用ソフトウエアで確認でき、採点結果の記録管理・閲覧・保存も可能とのこと。
通訳者を交えて話を聞いたところ、日本の自動車メーカーや塗料メーカーでの塗料開発や、自動車専門学校などでの塗装研修用途として積極的に提案していく考えがあるという。実際の塗料を使わず塗装ブースも不要で、環境に優しく、従来の塗装トレーニングよりも低コストで負担が少なく、採点結果まで表示できるため研究や人材育成の場で役立つシステムだと特徴をアピールしていた。高性能でエコな最新型の塗装シミュレータとして導入が進む可能性はあるのではないだろうか。