カスタムやドレスアップでは定番のインチアップ。純正サイズよりも大きなホイールにしてタイヤの扁平率を落とすチューニング。サーキット派でもインチアップの効果がある。
◆基本はタイヤの外径は変えずにホイールを大きくする
カスタマイズの基本とも言われるホイール交換。昔からホイール交換といえば、純正サイズよりもホイールを大きくインチアップするのが定番だ。その意味はホイールが大きくなることでカッコよく見えるから。見た目に関しては個人の趣向もあるので一概には言えないが、ホイールが大きくなり、それに合わせて車高を下げることでスタイリッシュに見えることが多い。旧車の世界では逆にホイールを小さくして、タイヤの扁平率を上げて、ゴムの部分が厚く見えることで、当時のような懐かしさを醸し出すチューンもある。そういった見た目の仕上げにホイールは重要な役割を持つ。
気をつけたいのがタイヤの外径は極力変えないようにすること。タイヤの外径が変わるとスピードメーターと実際の速度がズレてきてしまうので、一定の差を超えると車検にも通らなくなってしまう。純正サイズに比べてプラスマイナス数%に収める必要がある。そうなると例えば純正で215/45R17サイズの場合、外径はRE-71RSの場合は626mm。インチアップするならば、215/40R18サイズで外径が629mm。このくらいの誤差に抑えないと、スピードメーターに弊害が出てきてしまうのだ。
◆重量的にはインチアップは不利になるが
シャープなハンドリングが得られる面もある
同じ外径でもホイールを大きくして、タイヤのサイドウォールを薄くするほど重量としては重くなる。アルミホイールが大きくなる分どうしても重くなってしまう。タイヤとホイールが重くなるということは、よく言われるバネ下重量が増える。サスペンションのスプリングよりも路面に近い側が重くなるので、サスペンションの路面への追従性は悪くなる方向。タイヤ&ホイールも重くなるほど転がりにくくなるので加速力もダウン。ブレーキも効きにくくなる。運動性能的にはマイナス面が多い。
しかし、タイヤの扁平率が下がることによるメリットもある。扁平率が下がるとタイヤのサイドウォールの高さが低くなる。そうするとそれだけタイヤが潰れにくくなるのでハンドリングはシャープになる。サーキットで縁石を乗り越えたり、荒れた一般道を走るならサイドウォールは高いほうが路面を捉えやすく走りやすい。
だが、路面がフラットで綺麗なところをメインに走ったり、サーキットも本格レーシングコースを走るなら、サイドウォールが潰れる必要がない。むしろサイドウォールの柔らかさがフラフラと感じられ、ハンドリングが曖昧になってしまうのだ。なので、インチアップによる低扁平化は悪いことばかりではなく、ハンドリングの切れ味が増すメリットもあるのだ。
◆サーキット派はインチアップで
縦の接地面積を増やすこともある。
これは公道走行とは別の話になるが、近年サーキットでタイムを重視するアタッカーにもインチアップ派が増えた。正確には17インチと18インチ派がいたが、18インチが派が増えていて、さらに大径タイヤを使う人が増えている。
これまでなら255/40R17や265/35R18などが主流サイズだったが、さらなるグリップを求めてタイヤ幅は拡大。295/30R18サイズも増えた。しかし、さらにそこで295/35R18サイズが増えているのだ。理由はタイヤ外径が大きいから。外径が大きくなるとその分、タイヤの接地面積が増える。とくに横方向ではなく、前後方向への接地面積が大きくなり、同じ295幅でも35扁平の方が接地面積が大きく取れることからグリップ力が高くなると人気を集めているのだ。
ナンバー付き車両ではスピードメーターの問題もあるし、外径が大きくなるとフェンダーハウス内に干渉しやすくなるので、内部を加工したりインナーフェンダーを外したりする必要が出てくる。インナーフェンダーがなくなると静粛性が一気に悪くなり、配線などにダメージを受けることもあるのでオススメはできない。やはり外径アップチューンはサーキット専用車に行うチューニングだと思って頂きたい。