毎回来場者を驚かすようなカスタムカーを出展しているのが日本自動車大学校(NATS)だ。東京オートサロン2023にも生徒が製作した斬新なカスタムカーを5台出展。なかにはベース車両が全くわからないものもあったほどだ。
「今回の注目車両は青いトラックかな。何しろ大きいので、重機を運ぶトラックでここまで持ってきました」とNATSの関係者。その青いトラックは『Alphard Super Dually』で、トヨタ自動車の『アルファード』の後ろに『ハイラックス』の荷台をつけたクルマと言ったらいいだろう。
「アメリカのカスタムビルダーがもし日本のファミリーカーをカスタムしたら……」という設定で、「これまで先輩たちがつくってきたカスタムカーを超えたいとの思いでつくりました。特にアルファードの後部を切って、荷台を接合するところで苦労した。荷台にはバイクを載せるつもりです」と製作者の学生は話す。製作は14人で行ったとのことだ。
2台目に紹介するのは『RX-Cabriolet』だ。マツダの『ロードスター』がベース車両で、1970年代にJAFグランプリレースで通算100勝を達成した『サバンナRX3』をオマージュ、ノスタルジックな外見とオードスターの軽やかな走りをミックスさせたオープンカーに仕上げた。
「鉄板を曲げてオーバーフェンダーをつくったのですが、それが一番難しかった」(製作者の学生)とのことで、車検を通せるぎりぎりのところを攻めたため、時間がかかってしまったそうだ。1970年代後半の暴走族が全盛期だった頃、このようなサバンナの“シャコタン”を集会などでよく見かけたものだ。
3台目はトヨタの『86』をベースに改造した『GR STANCE』。.改造の予算がそれぞれ100万円だが、このクルマはターボキットをはじめ、エアサスペンション、ブレーキなど140万円以上の協賛を得て完成させたという。そのクルマは馬力が200psから279.4ps、そしてトルクが20.9kgから30.1kgへアップした。
「7人で製作したが、2人乗りなので、3月に予定している卒業旅行の際には交代で運転していくことになると思う」と製作者の生徒は運転するのを楽しみにしている様子だった。
4台目は『Blue Bird Reboot』。朽ち果てていた昭和41年式の日産『ブルーバード』を現代に蘇らせるレストアをメインに、ルーフやトランクへカスタムペイントを施し、パーツの再メッキ加工やエアサスペンションを搭載するなど、魅せる演出でクールに仕上げたそうだ。
5台目は成田市の本校とは別の袖ケ浦校が製作した『アルシオーネ』。このクルマは他の4台と違ってほとんどベース車のままで、自動車車体整備科の生徒が塗装実習で使用するSUARU(スバル)の『アルシオーネ』をお色直ししたもの。
なんでも袖ケ浦校の自動車車体整備科が開設されたのが2003年で、第1期生が実習車両として活用していたアルシオーネを第20期生がリペイントとのこと。新車販売当時の姿を再現すべく、2トーンカラーのライン修正やエンジンルーム内部、内板骨格など細部まで塗り込んだ。
東京オートサロン2023が終了すると、カスタムカーの車検を取って恒例である3月の卒業旅行へ製作者の生徒全員が行くわけだが、コロナ禍の2年間は房総半島1周の日帰りドライブだった。「今年はなんとか1泊2日の伊豆ドライブ旅行に行かせてあげたい」とNATS関係者は話していた。