HKSは早速新型日産『フェアレディZ』(RZ34)用パーツをお披露目した。「HKS RZ450コンセプト」と名づけられ、名前の通り“450ps”をターゲットに開発されている。
その他にも強烈なワイド仕様とストリートスペックの2パターンで仕上げられたトヨタ『GR86』、チューニングパーツが続々登場を控えているアバルト『595』の4台がブースに並んだ。まずは、HKSの最新チューニングカーについて紹介していく。
RZ34のトータルチューニングが完了!450馬力を狙う快速スペックに
まずエクステリアではエアロパーツ(フロント・サイド・リア)を開発中。バンパーなどに追加するタイプのエアロパーツとフロントフェンダーを異なる形状のものへ交換する。最近のHKSは積極的にエアロパーツを開発しているが、機能性を追求しているのがHKS。しっかりとダウンフォースの発生や、それによるハンドリングの向上を見極めながら形状を決定し、その結果がスタイリッシュになるという。RZ34用はこのテスト品をベースにこれから走行テストを行う。テストの結果によっては形状が変わる可能性もあるとのことだ。
注目はエンジンルームのカーボンカバー。バンパー上の部分を大きくカーボン化。見た目がスタイリッシュになるのはもちろん、バンパーからエアクリーナーに空気を導く部分はダクト形状とすることで、冷えた走行風を効率よく取り込めるように設計されている。
タワーバーはカーボン製シャフトを採用。トヨタ『GRスープラ』にも採用されているもので、材質から吟味されている。いわゆるガチガチのタワーバーではなく、カーボンシャフトがしなやかに衝撃を吸収することで、ハンドリングに落ち着きを付与することができるという。
その他にも、スーパーターボマフラーによるマフラーチューンは、さらなるパワーアップを可能にする。そこに組み合わせるのは簡単にパワーアップが可能なパワーエディター。現状は約430~440psを発生。そして足回りは、HKSの最新のサスペンションキットであるハイパーマックスSを組み合わせた。
気になるECUチューンはすでにスカイライン400R時代から解析済み。RZ34でもメインECUの書き換えが可能になるので、ECUをHKSに送付して書き換える「マスタリーECU」のリリースを検討中。フラッシュエディターで手軽に書き換えができるようになる可能性については開発中とのことだった。
GR86には待望のエキゾーストマニホールド登場、エアインテークキットと合わせて大幅パワーアップが可能に
HKSは今回GR86を2台展示。白いボディのモデルがワイドボディGT2スーパーチャージャー仕様の「Driving Performer GR86 Type-R」、黒いボディがストリートスペック仕様の「Driving Performer GR86 Type-S」で、それぞれ50周年パーツを組合せたパッケージ「HKS Driving Performer GR86 50th ANNIVERSARY PACKAGE」が販売される。Type-Rは数量限定で3台のみだ。
GR86用のパフォーマンスパーツとしては、最注目はエアインテークキット。純正エアクリーナーボックスと置換するタイプのエアクリーナー。外気を2箇所からダイレクトに導入して吸気温度を抑制。吸気温度にシビアなイマドキの制御を攻略する。フィルターにはこれまでのパワーフローを採用。大きな面積のスポンジで吸気抵抗を最小限に抑える。その空気をインテークパイプでエンジンに導く。
ボックスと、ダクト、パイプはそれぞれバラバラでも購入可能になる予定で、2月から3月という早めのタイミングでの発売が予定されている。さらにすでに販売されているエキゾーストマニホールドと組合せると、トルクの向上やピークパワーの向上に効果的だ。
冷却系ではオイルクーラーキットのプロトタイプを展示。ウインドゥウォッシャータンクを小型にして移設。そこにオイルクーラーが通る仕組みで、先代86とはややレイアウトが異なるもの。こちらはプロトタイプだが、すでにデモカーに装着されている。
GT2スーパーチャージャープロキット+サブコントロールシステムも開発中。F-CON iSによる制御とのセットで約50psの向上を可能にするキット。周辺パーツは純正で300ps近い出力を可能にする。さらにFA24エンジンを2.5L化するキットも開発中。ロングストローク化のために専用鍛造カチ割りコンロッドを製作。エンジン側は無加工でクランクピンサイズを専用としている。
そして、これからテストとなるが久しぶりにHKSからシーケンシャルミッションが登場することになるかもしれない。FA24でチューニングするとすでに300ps近くを発揮。基本的に先代踏襲のミッションではかなり限界値に近い。そこで約20年ぶりとなるシーケンシャルミッションを発売するべく、これから開発に勤しむという。トルク:70kgmあたりまでを許容する大幅なキャパシティアップを可能にするというから楽しみだ。
人気沸騰中のアバルト595、インタークーラーやオイルクーラーなどを開発中
HKSが久しぶりの輸入車の素材として選んだアバルト595。すでにマフラーやサスペンションをリリースし、純正に不満を持つオーナーも多いことからかなりの反響と売れ行きだという。すでにステップ1のチューニングメニューとしては、マフラー、サス、パワーエディターという組み合わせで発売されている。今回の東京オートサロンでは、さらなるパーツが開発中とのアナウンスがされた。
まずはインタークーラーキット。アバルト595は純正で左右にインタークーラーが分割している複雑な形状。その純正レイアウトを踏襲したインタークーラーキットを開発中。高効率なコアとすることで吸気温度を抑制。これまではセンターにインタークーラーをレイアウトするキットもあったが、マウントには大掛かりな手間が必要で、そういった心配を排除できるという。
オイルクーラーキットは油温が厳しいアバルト595だけに、存分に走って楽しむなら欲しい装備。しかし、極めて狭いエンジンルームにはなかなかスペースがない。そこで純正ラジエーター前に設置し、純正アタッチメントユニットを外してエンジンブロックに直接取り付ける。オイルフィルターが交換しやすい位置になり、カートリッジ式のオイルフィルターも使用できるようになるのだ。
タービンキットは圧倒的なパワーとレスポンスの両立を狙うという欲張りな仕様。純正プラス60psの240psを想定。タービンには最新式のブレードを使うことで、高出力とハイレスポンスを可能にする。
さらに純正追加エアロも開発中で、サスペンションにも新製品が登場予定。これまでのVIITSサスペンションはHIPERMAXシリーズでいうところのストリートメインの「S」の立ち位置だった。そこでスポーツ走行前提の「HIPERMAX R」にあたるサーキットスペックのVIITSサスペンションを開発中。加えて、2本出しマフラーも登場予定。2023年はアバルト595に多数のラインナップが増える予定なのだ。
その他、HKSでは50周年記念ブース「HKS 50th MUSEUM」として、HKSの歴史あるレーシングカーや未来を見据えたR32GT-Rのヘリテージプロジェクトのマシンを展示。50周年ブースの模様は、続報記事にてレポートする。