ちょっとしたカスタムに人気の補強パーツ。その名の通り補強するのが目的。では。どこをどう補強するのが効果的なのか。
◆補強、それってボディ剛性を高めるのが目的!?
カスタムとして人気の補強パーツ。数万円で買えて、取り付けもネジを緩めて締めるだけだったりと、手軽につけられて効果を発揮するという人気のパーツ。しかし、むやみにつければ「必ず良くなる」ものでもないのが補強パーツなのだ。
まず、ボディはある程度たわんだりするように設計されている。それはボディ剛性が低いからというわけではなく、ある程度はボディもしなって、たわむことで乗り心地を良くしたり、ハンドリングを正しいものにしたりしている。ボディが硬ければいいというわけではないのだ。自動車メーカーではそういったことを考慮してボディを設計している。コストダウンの結果ヘナヘナなボディになってしまったが、そのまま売っているというわけではない。
ボディ剛性を高めるにはとにかく鉄の量を増やすのが近道。もっと鉄板を厚くして、ボディの構成部材を増やせばボディ剛性はいくらでも高められる。しかし、同時に重くなるので運動性能も燃費性能も落ちてしまう。そこで現在では通常の鋼板と、力が掛かりやすい部分には高張力鋼板などを用いる。できるだけ重くならないように、でも剛性に重要な部分へはより強い鉄板を用いることで、軽くて強いボディを目指している。なので、そのボディにいきなりいろいろなところへ補強を入れればなにもかも良くなるかと言うと微妙。曲がるために適度にしなっていたボディが、補強を入れた部分だけが硬くなってしまい、気持ちよく曲がれなくなってしまうこともある。
◆どこから手を付ける?まずはボディとその他のつなぎ目の強化から
そこでオススメはボディの箱としての剛性アップの前に、各部のつなぎ目を強化すること。つなぎ目とは例えばボディとサブフレームの間。フレームにサブフレームがねじ留めされ、そのサブフレームからサスペンションアームが生えている。そのフレームとサブフレームの留めてある部分をより強固につなぐことで、ボディの一体感が高まる。先代86/BRZではそういった接合部のネジが限定車ではより長いボルトになっていたとか、より首が太く襟が厚いボルトになっていて、その限定車の純正ボルトの流用チューンが流行っている。
リアのサブフレームであれば、ボディにゴムブッシュを介して取り付けられることが多い。そこでサブフレームとボディの間を直接ガッチリと取り付けるようにメンバーカラーなどを入れることもできる。そうなると多少異音は増えるがサブフレームがリジットマウントになることで、リア周りの剛性感が飛躍的に高まる。
◆キャビンとフロントフレームの強化も効果的
クルマはキャビンからフロント方向へは左右2本のフレームが前に突き出していて、そこにフロントサブフレームが取り付けられている。この2本のフレームは「前へならえ」状態で前方に突き出しているので、路面から入力があると上下方向に動きやすい。そこでそのフレームとキャビンの接合部を強化してあげると、フレームが上下に動きにくくなり、ハンドリングにシャープさが生まれる。具体的にはフロントフェンダー内部に取り付けて、フレームとキャビンをつなぐ補強パーツが有効。レーシングカーではこの部分に溶接でパイプなどを追加して、フロントフレームの剛性を高めたりしている。
◆箱の強化は最後にとっておく
これらの箱との接合部を強化をしてからボディ自体を強化したほうが効果が出やすい。また、いきなりボディ内にタワーバーとかピラーバーとかを追加すると、そこだけが局所的に固くなり、むしろ走りがいまいちになってしまうこともある。レーシングカーなどの本格的なボディ補強は溶接で行なうのでもちろんガッチリと仕上がる。ストリートカーの補強はネジ留めが一般的だが、それでも意外と言っては失礼なほど効く。
逆に気軽につけると悪影響があるほど効いてしまうことも珍しくない。なので自分のクルマではどこを強化して、どうしならせるかを考えながらセルフプロデュースしてもらいたい。困ったらまずはつなぎ目、もしくは車体の低い位置からすることがポイント。サスペンションが付くサブフレームとボディの強化などはデメリットが少なく、確実に効果を感じやすい。そして、ときには外してみてその変化感じてみる。調整する勇気も必要だ。