三元系のリチウムイオンバッテリーを見直すして、LFP(リン酸鉄)バッテリーに置き換えようとする動きがある。大企業は、コバルトやリチウムなどの資源について、調達地域の人権問題や環境破壊などのリスク要因を排除したいからだ。
しかし、LFPバッテリーをEVやエネルギーストレージとして使う場合、バッテリー制御、とくに各モジュールやセルの電圧監視が難しいという課題がある。アナログデバイセズのマルチセルバッテリモニタはLFPの監視ソリューションにも耐えるという。
バッテリー管理システム(BMS)は、温度管理によって加熱・冷却処理も重要だが、バッテリーの電圧を監視することで、使用状況や負荷に合わせた最適な充放電を制御する機能も重要だ。アナログ・デバイセズ(二次電池展2022出展)はAD変換、DA変換といったアナログICや、電源まわりの集積回路、信号処理、RFデバイスのトップベンダーだ。
バッテリーの電圧監視には、AD変換がまず必要だ。電圧というアナログ量をデジタルデータに変換することで、プロセッサ(ソフトウェア)はきめ細かい制御が可能となる。AD変換はリファレンスとなる基準電圧の正確性・信頼性が高くないと精度が出せない。同社のADコンバーターICは基準電圧をつくるツェナーダイオードがチップに埋め込まれており、精度と信頼性を上げている。正確なサンプリングが特徴である。
リチウムイオンバッテリーはセルあたりの電圧が最大4Vと、3VちょっとのLFPより高い。高出力が求められるEVバッテリーは、1V以下の電圧の差でも大きい。セルを何枚も重ねてモジュールを作り、さらにモジュールをつないで(パック)最終的な電圧と容量を確保するからだ。高度なバッテリー制御を実現するには、セル単位・モジュール単位の電圧を正確にモニタリングしなければならない。AD変換の精度が低いと測定誤差も積み重なっていく。
誤差が多ければ、たとえばSOCの計算(バッテリーの残量表示)に影響が出るほか、効率のよい制御、寿命を延ばす制御にも支障をきたす。
三元系のバッテリーは、SOCと出力電圧は連動して増える特性があるので、電圧の変動を検出しやすい。LFPはSOCが増えても出力電圧はあまり変わらない。傾きが小さいので電圧監視に高い精度が要求される。
パワー半導体だけでなく、EVやエネルギーストレージ、EV充電器、V2H(上記はソーラーパネルの発電状況のモニタリングに言えることだ)向けのソリューションにも力を入れている。
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