昔から「輸入車は国産車に比べて不具合が起きやすい」なんて話をよく耳にするが、本当なのだろうか? 確かに古い輸入車にはそのイメージがあるが、それは古い国産車にも当てはまる。現行の車両において、本当に輸入車だけが不具合が起きやすいのかを、輸入車整備に精通する一般社団法人 日本輸入車整備推進協会(JISPA)で代表理事を務める、神奈川県横浜市 玉野自動車の平林潔社長に話を伺った。結論から言うと「しっかりとメンテナンスさえしていれば、輸入車が国産車に比べて不具合が起きやすいということは特段ない」ということだ。詳しく話を伺うと、輸入車の不具合として問い合わせが多いのは、・オイル交換を定期的に行わないことに起因するエンジントラブル・タイミングベルトやラジエターホースなどの樹脂やゴムを素材としたパーツの劣化といった、メンテナンス(消耗品の交換)を怠ることから発生するトラブルだそうだ。平林氏は「元々輸入車は、メンテナンスをしながら長く乗ることを前提として作られており、メンテナンスをしなくてもある程度は壊れないという一般的な国産車とは異なる思想で作られている」と言及された。この辺りは、住宅事情にも表れているので、国民性の違いとも言えるだろう。確かに、輸入車が不具合を起こしやすいという声は、国産車の延長として輸入車に乗っている方のメンテナンス不足に起因するものが多く見受けられる。逆に、輸入車に造詣が深い方は上手く輸入車と付き合っているように見える。大切なのは輸入車の特徴を理解し適切な手入れを行うことなのだろう。また、メーターパネルに表示される警告灯についても、「確かに輸入車の警告灯はよく点灯します。それは間違い無いのですが、それは警告灯が敏感にセッティングされているからであって、より安全性を重視した結果と言えます」と言及された。安全性を重視しているという点では、ブレーキパッドの例も思い当たる。BMWやメルセデス・ベンツといったドイツ車はブレーキの効きが良いと言われているが、これは、ドイツに制限速度が無制限な区間のあるアウトバーンが存在していることが関係している。200キロオーバーで走行する車も少なくなく、高速域から確実に減速・停止する性能がブレーキパッドには求められているから高性能なのだ。しかし、それゆえに消耗も早い。一方国産車は、日本の高速道路事情に合わせて開発されているため、そこまでのスペックは必要なく、消耗の少ない長持ちするブレーキパッドを使用することができるという。最後に平林氏は「どちらが良い、悪いではなく、考え方の違いであることを理解し、輸入車ライフを楽しんで欲しい。そのうえで、当社としては、車齢が10年、20年というユーザーが大切に乗っている車の整備ができる受け皿として活用して頂きたいし、さらには全国各地に同じ志を持つJISPA会員工場を増やしていきたい」と同社の考えと輸入車整備推進団体の意義を説明された。確かに、買い換えることを考えると、しっかりと整備・修理をしながら乗り続ける方が経済的である場合も少なくないのかもしれない。また、しっかりと整備の行き届いた輸入車はリセールバリューも高い傾向が見られる。親身になって相談に乗ってくれる整備工場さえあれば、輸入車という選択肢も悪くないかもしれない。
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