GfKジャパンは、全国のドライバー約1万5200名に対し、大雪時の一部区間におけるタイヤチェーン規制に関するインターネット調査を実施し、その結果を発表した。国土交通省は2018年12月、高速道路、国道の一部区間を対象に、従来であれば通行止めとしていた降雪状況でも、タイヤチェーン装着車のみ走行可能とする方針を発表。この発表に対するドライバーの認知状況を調査したところ、「知っていた」「聞いたことはあったが詳細は知らなかった」と回答した割合はあわせて77%。特に規制対象区間を多く含む甲信越では89%、北陸では94%と認知度が高かった。しかし、「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」の道路標識については、その意味を知っていた割合は32%にとどまった。次にタイヤチェーンの使用状況だが、自身で装着し運転した経験があるドライバーは58%。年代が高いほどこの割合は大きく、60代以上では74%、 50代では64%と経験者が多数派だったが、40代以下ではこの割合が半数を下回った。また、タイヤチェーンを装着して運転する際に困ったことについては、地域によって傾向が異なった。一般地域で最も多かった回答は「装着・取り外しがわずらわしい」の59%。多雪地域では「装着しているときに乗り心地が悪くなる」が57%、次いで「積雪していない道を走るときに支障がある」が56%と実用面での不便を感じているドライバーが多いことがうかがえた。ドライバーのうちタイヤチェーンを保有している割合は26%。ただし、そのうち46%は実際に使用したことがなく、41%は数年に1度しか使用していないと回答した。こうした状況からチェーンを使い慣れているドライバーは限られていると考えられ、チェーンの取り付けの手軽さや使いやすさはドライバーにとって重要な項目といえそうだ。比較的手軽に使用できる製品として、スプレーでタイヤの摩擦力を高めることができるスプレー式タイヤチェーンが台頭しているが、その存在を知っているドライバーは37%だった。スプレー式タイヤチェーンを使用しても、今回の規制においてはチェーン装着車として認められないため対象区間での走行はできないが、急な積雪や路面凍結など緊急時の一時利用に適しており、普段雪が降らない地域で利用されるケースは多いとみられる。地域別の認知率をみると、多雪地域よりも一般地域における認知が高く、北関東と首都圏では40%を上回った。今回の規制により、地域によっては雪上や氷上におけるチェーンでの走行機会が増えることが予想される。ただし、規制によってタイヤチェーンの購入・買い替えを検討している消費者は26%と限定的で、規制対象区間を多く含む地域や多雪地域でも、その割合は大きく変わらなかった。今後、チェーン規制や道路標識の啓蒙が進むことで、ドライバーにチェーン装着の重要性が浸透し、規制区域にとどまらず、スプレー式なども含めたタイヤチェーンの利用が広く普及するか、注目が集まる。
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