クルマの中で“良い音”を聴きたいと思いながらも、初めの1歩が踏み出せないという方々に向けて、「スピーカー交換」の方法論をガイドしている当短期集中連載。第6回目となる今回は、「取り付け方のいろいろ」を解説していく。■ツィーターのスタンダードな取り付け方は、ダッシュボード上にポンと置くスタイル。前回は、ドアに装着するスピーカー(ミッドウーファー)の、取り付けにおいての“コツ”を解説した。それに引き続き今回は、ツィーターの取り付け方のいろいろと、ミッドウーファーのより高度な取り付け方を解説していく。最初に、ツィーターの取り付け方から解説していこう。まず、ツィーターのもっともスタンダードな取り付け方は、ダッシュボードの上にポンと置くスタイルとなる。これを行うためには、購入したスピーカーに、ツィーター用のスタンドが付属している必要があるが、スタンド付きのスピーカーであれば、この方法がもっとも手っ取り早い(簡単取り付けをうたう“カスタムフィット”や“トレードイン”タイプのスピーカーには、多くの場合スタンドが付属されている)。特別な加工が必要なく、インテリアに対するダメージも最小限にとどめられる。メリットはそればかりではない。この方法においては、「角度調整がしやすいこと」も利点だ。Aピラー等々に埋め込む取り付け方法を選択した場合には、取り付けた後から角度を変えるのは難しい。しかしダッシュボード上にポンと置くスタイルでは、割と自由に、後から角度を変えられる。ツィーターは、角度によって聴こえ方が変わりやすい。リスナーに対して正対させるときと、角度を振ったときとでは、得られる情報量が異なってくる。であるので、ツィーターの角度を決定するためには、なかなかにシビアな調整が必要だ。しかしツィーターをダッシュボード上にポンと置いた場合には、後からの微調整が容易だ。手軽な方法でありながら、音を良くするためのメリットも持ち合わせている、なかなかに便利な取り付けスタイル、ということができる。■音質を追求する場合には、「Aピラー」、または「ミラー裏」が有利。手軽な取り付け方法としてそれに続くのは、「純正位置に埋め込む」方法である。ツィーターが純正採用されている場合、その取り付け位置は、ダッシュボードの左右の端、もしくはドアミラー裏が多いが、交換するスピーカーのツィーターがそれらのスペースに収まるサイズであるならば、純正位置も取り付け場所の候補として浮上する。なお、純正位置がダッシュボードの左右の端である場合、ツィーターは上向きで固定されることとなる。となるとリスナーは、ツィーターから放たれる直接音を聴くことが難しくなる。このコンディションは、良い音を追求しようとするときには不利だ。直接音が聴けたほうが、もろもろをコントロールしやすいのだ。一方、手間は掛かるが音質的に有利な取り付け場所というと、「Aピラー」もしくはドアミラー裏」が定番となっている。まず「Aピラー」に埋め込む場合では主に、「高さの自由度があること」と、「奥行きが稼げる」ことがメリットとなる。ツィーターを多少なりとも高い位置に取り付けられると、サウンドステージを高く表現しやすくなる。また、ダッシュボードでの反射も少なくなるので、音質のコントロールもしやすくなる。さらに、奥まった位置に取り付けられるので、サウンドステージの奥行き感も出しやすい。対してドアミラー裏に取り付ける場合には、「左右の幅を稼げる」ことが最大の利点となる。カーオーディオでは、右ハンドルの場合、右ツィーターは概ね目の前の位置に来るが、ミラー裏に装着すればリスナーに対しての仰角が稼げる。ただし、距離が近くなることはデメリットだ。サウンドチューニング能力の高いシステムでないと制御が比較的に難しい。■ミッドウーファーをより高音質に鳴らそうとするならば「アウター化」がおすすめ。続いては、ドアに装着するミッドウーファーの取り付け方について考えていこう。より上級なサウンドを追求しようとするならば、スペシャルな方法が存在している。それは、「アウター化」だ。これがどのような取り付け方なのかというと、「スピーカーの取り付け面を内張りパネル面まで立ち上げて、スピーカーを外側に見えるようにする」という方法である。こうすることにより、「音をダイレクトに車室内に届けられる」というメリットを得られる。内張りパネル内に収める取り付け方では、大なり小なり、スピーカーから放たれた音が内張りパネル内に入り込む。「カーオーディオプロショップ」では、それに対していろいろと対策を講じるので、そのことのビハインドは最小限に抑え込まれるが、しかしながら「アウター化」できれば、内張りパネル内には音は一切入り込まない。ただし、取り付けの難易度は相応に上がる。内張りパネルをカットする必要があり、スピーカーを立ち上げるのにも手間がかかる。そして、立ち上げたスピーカーと内張りパネルとを美しく一体化させるのにも技術を要する。なので、これを「カーオーディオプロショップ」に依頼した場合、工賃もある程度高くなる。ただ、これも言ってみれば「スピーカーを作る」作業である。前にも説明したとおり、カーオーディオのスピーカーは、売られている状態では半完成品だ。高音質を追求しようとするならば、ドアなり、ピラーなりを加工して、“スピーカーを作る”作業が必要不可欠となる。音質を追求するならば、手間が掛かることは覚悟しよう。今回は以上だ。次回は、「3ウェイ」について解説していく。お楽しみに。