カーオーディオの音質の善し悪しに、多大な影響を及ぼす“取り付け作業”。そのノウハウのいろいろを1つ1つ詳細に解説している当コーナー。現在は「ワイヤリン」をテーマにお贈りしている。今回は、「“ショート”対策」について考えていく。「ワイヤリング」の中でも、まずは“電源系”の配線についての考察から開始しているのだが、電源系の配線というと、至って重要な項目が1つある。それが今回取り上げる、「“ショート”対策」である。さて、「ショート」とは何なのかと言うと…。それを説明するためにまず、クルマにおいての電源配線の仕組みのおさらいから入りたい。パワーアンプの電源配線を例に考えていく。まずプラス側は、ケーブルをバッテリーまで伸ばし電気を取り込む。しかしながらマイナス側の配線は、通称“ボディアース”という方式で配線を完了させる。アンプのマイナス側の端子につないだケーブルの先端を、ボディの鉄板部分にネジ留めするのだ。こうすることでマイナス側の電流は、ボディを伝わってバッテリーに帰っていく。ボディがケーブルの役目をするのである。結果、ワイヤリングを整理できる、という次第なのである。しかしながらこの仕組みだからこそ、気を付けなければならないことが発生する。それが「ショート」だ。「ショート」とは、プラス側の配線とマイナス側の配線が直結する状態のことを言う。例えば、バッテリーから直接引っ張ってきたプラス側の配線がどこかで断線し、その導体がボディに触れてしまと…。そうなると一切の“抵抗”がなくなるので、一気に大量の電気が流れることとなる。ケーブルは燃えだし、その炎が車内の何かに引火して、あっという間に車両火災が引き起こされる…。というわけで、電装品の電源配線を行う際には、これを防止するための策を講じたい。それは、「ヒューズの設定」である。もしも「ショート」が起こり大量の電流が流れたら、配線の途中に仕込んだ「ヒューズ」が切れる。これにより電流が遮断され、「ショート」状態を終了させる、というわけなのだ。今週はここまでとさせていただく。次週も「ワイヤリング」についての解説を継続する。お楽しみに。