製品選びから楽しみ尽くしていただくために、その“傾向と対策” を解説している。今週は前回に引き続き、「パワーアンプ」に搭載されている“クロスオーバー”機能について考察していく。前回は主に概要を紹介した。今回からはタイプ解説に踏み込んでいく。さて、パワーアンプに搭載されている「クロスオーバー」には、2タイプが存在している。どちらも音楽信号を“帯域分割”する機能であるのだが、“カットオフ周波数”の選択範囲が狭いタイプと、広いタイプの2つがあるのだ。選択範囲が狭いタイプの場合は、その選択範囲は例えば、50Hzから500Hzというように、低いエリアに限定されることとなる。つまり、サブウーファーとフロントスピーカー間で使用するための“クロスオーバー”、となっているのだ。具体的には以下のようにして使われる。ミッドウーファー用のchにおいては“カットオフ周波数”を80Hzに設定し“ハイパス”をかける。“ハイパス”とは「高い信号だけを通す」という意味で、つまりは「低い信号をカットする」フィルターだ(実際はスパッと切るのではなく、80Hz以下の音を緩やかに減衰させていく、というような切り方となる)。そしてサブウーファー用のchにおいては、“カットオフ周波数”を80Hzに設定して“ローパス”をかける(80Hzより上の音をカットする)。4chアンプ1台で、フロント2ウェイ+サブウーファーを鳴らそうとする場合には、このタイプの“クロスオーバー”を上手に活用すると、フロントスピーカーの音とサブウーファーの音を、スムーズに繋げることも可能となる。もしも「クロスオーバー」をかけずに両方をフルレンジで鳴らしたら、高い音も低い音も両方のスピーカーから聴こえてくるので、音がダブって聴こえてしまう。しかし“クロスオーバー”を使って役割分担をさせれば、音がダブる部分を相当に減らせる。しかも、それぞれのスピーカーに、鳴らすのが苦手な信号を入力しなくて良くなるので、各スピーカーの負担を減らすことも可能だ。プロセッサーを使用していないシステムにサブウーファーを加えようとするときには、上記のような、サブウーファーとフロントスピーカー間に使うことができるタイプの“クロスオーバー”機能を有したパワーアンプを選ぶと便利だ。要チェック。今週はここまでとさせていただく。次週も、“クロスオーバー”についての解説を継続する。お楽しみに。