ホンダは9月25日、ツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)で報道関係者に同社の原点となった補助エンジン自転車や、近く累計生産が1億台に達する『スーパーカブ』の初代モデルなど4台を実走行させて公開した。ホンダが世界トップの二輪車メーカーとなる原点は、1946年に創業者の本田宗一郎氏が軍用無線機の発電用小型エンジンを入手して自転車の補助エンジンに活用したことだ。翌47年には早くも自社エンジン(50cc、2サイクル)を開発し、自転車補助エンジンを『ホンダA型』として売り出している。これは「ホンダ」を冠した初めての商品でもあった。さらに52年には補助エンジンの『カブF型』(50cc、2サイクル)を開発し、燃料タンクなどとセットで梱包して全国の自転車店向けに販売した。スーパーカブにつながる「カブ」の名称が初めて登場したのがこのモデルだった。そして補助エンジンではなくバイクの完成品として初代スーパーカブである『スーパーカブC100』(49cc 4サイクルOHV)として発売されたのが1958年で、小型エンジンでは難しかった4サイクルも実現している。この初代モデルは米国にも輸出され、それまでなかった釣りといったレジャーや通学などの用途を開拓、小型バイク市場を確立するとともに、ホンダブランドを全米に広めることにもなった。25日の実走行公開では以上のホンダA型、カブF型、初代スーパーカブ、さらに静粛性や出力を高めたOHCエンジンとなった2代目スーパーカブ(1967年モデル)の4台が披露された。いずれもツインリンクもてぎ内にある展示館「ホンダコレクションホール」でレストア保存されている貴重品。補助エンジン自転車は、ペダルをこぎながらエンジンを起動させる方式であり、やや技量を要すが、動き出すとパタパタと空冷2サイクル独特の小気味良い音を響かせた。スーパーカブは世界で160超の国・地域で愛用されており、近くグローバルでの累計生産が工業品では異例の1億台に到達する見込みとなっている。協力:ホンダ(試乗・取材会)