NTTドコモは3月15日から17日まで東京ビッグサイトで開催中の「第8回国際自動車通信技術展(ATTT)」で、AI(人工知能)の活用で移動需要のある場所や時間、乗車人数までを事前に予測し、それに応じたルートで走行するAI運行バスを提案している。NTTドコモのIoTビジネス部でビジネス企画事業戦略を担当する長吉亮拓氏は「AI運行バスは、バスとタクシーそれぞれの長所を融合させたもので、タクシーのように利用者が任意の場所で自由に乗り降りでき、かつバスのように乗合できるものを目指している」と話す。というのも「少子高齢化で国内のバス路線がどんどん廃止され、移動したくてもできない方々が増えている。その一方で観光地をいろいろと見て回りたくても目的地とバスが離れているなど、需要があっても実際にはバスが運行していないという社会課題がある」からで、「それらを解決するためにAI運行バスを提案し、開発に取り組んでいる」と長吉氏は開発の背景を明かす。AI運行バスの実用化に向けてNTTドコモは3月9日、走行ルート中央制御システムの研究や開発を手がける未来シェアと共同開発することで基本合意している。具体的にはNTTドコモが持つAIを活用したリアルタイム需要予測と、未来シェアが持つ需要に応じて乗合車両を配車するシステム『Smart Access Vehicle(SAV)』を組み合わせることで、移動需要のある場所や時間、さらには乗車人数を事前にAIで予測した上で、それに応じた走行ルートを決定するシステムを構築するというもので、2018年度中の実用化を目指すとしている。AI運行バスが実現すると、利用者は利用したい時に利用したい場所で乗り降りが可能になる。一方、運行事業者は事前に移動需要が把握できるうえ、より効率的な運行も可能になる。さらに物流事業への応用も考えられるとしている。ただ実際にAI運行バスを走らせるには法整備が必要となることから、長吉氏は「まずは乗合特区などでの運用を想定している」と話していた。
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