【スズキ ワゴンR ハイブリッドFZ 試乗】明確な主張とアイキャッチーなデザイン…中村孝仁 | CAR CARE PLUS

【スズキ ワゴンR ハイブリッドFZ 試乗】明確な主張とアイキャッチーなデザイン…中村孝仁

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これが6世代目の『ワゴンR』だという。いわゆるトール型ワゴンという軽自動車になかったジャンルを切り開き、軽自動車界に新風を巻き起こしたのが初代モデル。

それから数えて6代目なのだが、初代登場が24年前の1993年。それ以降軽自動車はトール型が当たり前となり、さらに全高を高くしたスーパーハイトワゴンなるジャンルも登場。車高が高いのは当たり前となった結果、どれもこれも同じようにしか見えず、正直デザインで選ぶトール型ワゴンなど無いと思っていた。

しかし、今回のワゴンR、正直言ってかなりアイキャッチーだと思う。特にサイドビュー。どこかの何かを真似したとは敢えて言わないが、そのウィンドーグラフィックは明らかに日本で一番売れているミニバンの何かとそっくりなのだが、実はこのデザインが非常にアイキャッチーで大胆かつうまくまとめたデザインとしていると思うわけである。

先代までエネチャージと呼ばれてきたマイルドハイブリッドシステムは、今回から明確にハイブリッドを謳うようになった。もっともそれによって機能が変わったわけではなく、いわゆるISG(モーター機能付発電機)によって、発進、停止、加速をアシストし、回生機能を持たせたもの。リチウムイオンバッテリーと通常の鉛バッテリーを使い分けて搭載していることも先代と変わりない。ただし、ISGを高出力化してバッテリー容量も増やした結果、クリープ時のみながら、今回からEV走行(最長10秒)を可能としている。

アイキャッチーなデザインのボディはホイールベースが35mmも延長され、室内幅は何と従来比+60mm、室内長に至っては従来比+285mmと、元々軽自動車枠いっぱいだったはずのボディで、どこをどうやっったら、そのような空間を稼ぎ出せるのかと不思議に思うほどの広さを確保している。リアシートは前後に160mmもスライドし、モノにもよるのだろうが、ラゲッジスペースにベビーカーを立てて搭載することが可能になったという。これ、実は我が家の娘が現在子育て中で、ベビーカーをどう置くかいつも悩みの種にしていたから、このアイデアはかなり大きなインパクトを与えるものだと思う。

そしてお決まりの軽量化。ハーテクトを名乗る、『アルト』から採用されている独特な構造のプラットフォームを採用し、さらに超高張力鋼板の使用率を、重量比で先代から9%引き上げて軽くて強いボディを作り上げた結果、最大で先代車種比40kgの軽量化も達成している。いつものことだが、これによるボディの軟弱感や、乗り心地の悪さなどは一切なく、不思議なほどのどっしり感を生み出しているのは、以前も書いたが完全なスズキ・マジックである。因みに試乗したFWDの「ハイブリッドFZ」は車重790kgと800kgを切る。

唯一変わらなかったのは、R06AのパワーユニットとCVTの組み合わせだろう。ただ、何をしたかは具体的にわからないが、静粛性が向上した印象を受けた。40kgの軽量化は当然ながら元々軽い軽自動車では大きな性能向上要素となり、少なくとも街中における発進加速はこれで十分と思えるレベル。さすがに高速道路を流れに乗って巡行しようとすると、少し厳しい。ターンシグナルを軽く押していやるだけで、3回点滅してくれる機能は今や常識化しているが、スズキの軽としてはこれが初だという。

さらにヘッドアップディスプレイも軽では初採用となった(オプションだが)。しかし折角のヘッドアップディスプレイだが、目線を横に移動するだけで新しいワゴンRはセンターメーターが見える。だから、ヘッドアップディスプレイの意味はあまりないように感じた。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
《中村 孝仁》

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