BMW『VISION NEXT 100』のデザイン・コンセプトは?…デザイン部門・永島譲二エクステリア・クリエイティブ・ディレクターにインタビュー
特集記事インタビュー
BMWは2016年に100周年を迎え、記念としてコンセプトカーの『VISION NEXT 100』を発表した。そのデザインのプロジェクトマネージャーを務めた、BMWデザイン部門エクステリア・クリエイティブ・ディレクターの永島譲二氏に、コンセプトカーのデザインコンセプトやBMWの将来のデザインについて話を聞いた。
プレミアムブランドであろうとすると、確かにひとつには伝統に頼るという手もあり、そういうメーカーがあってもいいと思いますが、BMWの場合はむしろその逆です。我々は“プレミアム”と“ラグジュアリー”という言葉を分けて使っており、あえてラグジュアリーとはいいません。その理由は、ラグジュアリーというのは無駄であることが贅沢であるということと少しつながるからです。BMWの場合にはそうではなく、機能性が高いことが高級であると考えています。そういうスピリットを表現したかったのです。つまり、VISION NEXT 100は非常に効率が高いクルマであり、スペースに無駄もないクルマなのです。
永島:我々はプリシジョン&ポエトリー(Precision & Poetly)というデザインフィロソフィを持っています。これは、金属調で締まった形でありながら、ドライではなく、ある程度情感が入る形です。この情感を言葉にするのは難しいのですが、例えば音楽を聴いてなぜこれが悲しいのかといわれても具体的に説明しにくいでしょう。それと同じでフィーリングなのです。プリシジョンは正確なかっちりした感じでありながら、ドライな箱ではない。そして人の情感が表現されている。これは、BMWというクルマの乗り味とも共通しており、VISION NEXT 100にも同じものを感じてもらえるでしょう。