ナビタイムが13日から提供を開始した、地図自動更新機能は、同社が開発したNT-FILTERという地図の自動生成システムによって実現されている。しかし、ナビアプリの場合、そもそも地図更新をせずとも常に新しい地図情報が使えるのではなかったのか。他のナビアプリや据え置き型のカーナビとの違いはどこにあるのか整理してみたい。従来の地図更新は、地図提供会社が2か月ごとに実施するデータを反映させるか、独自調査によって道路工事の情報を事前収集し、開通日に合わせて更新するかの2パターンで行われていた。NT-FILTERは、ナビタイムが提供するナビアプリのうち、自動車向けのナビ機能、車ルート検索機能のGPS情報のログを収集、解析し、地図情報にないところを通過するデータから、新しく開通した道路を判断し、サーバー上の地図情報を更新する。そのため従来方法より、より素早いタイミングで新しい地図が利用できるようになる。収集されるGPSログは、450万UU/月といわれるナビタイムの自動車関連アプリユーザーのうち、データの利用を許諾したユーザーのデバイスすべてからの情報を利用する。新しい道路は、NT-FILTERが移動速度、車種、交通量などを総合的に判断することで検知するが、人手によるチェックも行う。最終的に新しい道だと判断されたら、そのタイミングで随時行われるそうだ。じつは、地図提供会社の定期更新でも、すべての新規開通道路が網羅されているかというと、そうでもない。提供会社の基準で地図に反映させない道路もあれば、市町村道レベルとなるとすべての新規開通道路を把握するのも難しい。NT-FILTERのようにプローブ情報(GPSログ)を利用すれば、実際に車が通っている道ならば自動的に検知される。事前の情報がなくても、素早い地図更新が可能だ。自動車メーカーも、プローブカー情報を使ったサービスや実証実験などを行っている。走行データと合わせて凍結などの路面情報、事故の多い道路の検知、渋滞や工事中といったリアルタイムな情報提供などを行っている。プローブ情報によって地図更新まで行っている事例は他にはあまりない。このような更新は、地図をローカルに保持する据え置き型カーナビより、クラウド上で地図データを管理しているカーナビアプリに向いている。