東海環状自動車道の全線完成を訴え、岐阜県と三重県の知事らが、官邸や関係省庁を訪れた。両知事らが「強く要望する」のは、東海環状自動車道西回りの建設と開通についてだ。官邸、国土交通省、財務省を訪れたのは、岐阜県の古田肇知事、三重県の鈴木英敬知事と沿線自治体で組織する関係団体の首長約10人。東海環状自動車道は延長約160kmの自動車専用道だ。名古屋市から大きく囲むように、その30~40km圏に位置する愛知県、岐阜県、三重県の3県を通過する。岐阜県関市の関広美ICを境に東回りと西回りに分かれて開発され、東回り延長約79kmは愛知万博「愛・地球博」開催直前の09年4月までに開通した。しかし、西回り延長約77kmについては、44.2kmで開通の見通しすら立っていない。要望書を受け取った田中良生国土交通副大臣に、古田知事は「見通しを立てながら、全体として着実に進めてほしい」と、訴えた。西回りルートは12年9月に岐阜県内の大垣西IC~養老JCT、16年8月に三重県初の東員IC~新四日市JCTの2区間、合わせて7.4kmが部分開通した。残り25.4kmについては19年度中までの段階的な開通を目指すが、そもそも全線開通の目標は何もない。「開通しましたということも大切だが、開通見通しが出ると、地元企業の立地や周辺自治体の道路整備などにも動きが出る可能性が高い。地域活性化のためにも、見通しが示されることは重要」と、県関係者は語る。両県は今年2月3日にも、都内で「東海環状自動車道整備促進総決起大会」を開催し、東海環状自動車道の早期全線開通を訴えている。2020年の東京オリンピック開催を控え、インフラ整備は首都圏に集中するのではないかという地方の危機感は強い。