一般社団法人全国レンタカー協会が主催する「第28回全国レンタカー事業者大会」が10月1日、北海道札幌市の札幌パークホテルで開催された。
同大会は2年おきに開催され、北海道での開催は22年ぶりとなり、全国各地から多数のレンタカー事業者や関係省庁・自治体・警察などの来賓が集い、拡大するインバウンド需要への対応、交通事故防止策、災害時における社会的な役割の強化などについて活発な議論や発表が行われた。
◆1兆円産業としての責任…インバウンドの分散とレンタカーの社会的責任
開会にあたり、開催地を代表して北海道地区レンタカー協会連合会および一般社団法人札幌レンタカー協会会長の成田修朗氏が挨拶。各地の自然災害被災者への追悼とお見舞いを述べるとともに、広大な北海道における二次交通としてのレンタカーの重要性と、安全安心なサービス提供に向けた全国の連携強化を呼びかけた。

続いて登壇した一般社団法人全国レンタカー協会会長の田端浩氏は、全国のレンタカー保有台数が2023年に初めて100万台を突破し、今年3月末時点で123万台に達したことを報告した。田端会長は「第5次観光立国推進基本計画」において、オーバーツーリズム緩和や地方への観光客分散を支える交通手段としてレンタカーが位置付けられたことを強調。一方で、急増する訪日外国人ドライバーの事故防止に向けた貸渡時のルール周知や、自然災害発生時における自治体・関係機関との災害連携協定の推進、さらに現場の人手不足に応えるDX推進やデジタルセキュリティ対策など、業界全体で取り組むべき多角的な課題を提起した。

◆講演:日本赤十字社による災害救護とレンタカー業界の連携
その後の講演では、日本赤十字社北海道支部事務局次長の武山博美氏が「赤十字活動と災害について」と題して登壇。武山氏は、赤十字の救護活動の歴史を紹介し、近年の能登半島地震や熊本地震における具体的な救護班派遣・支援活動について報告した。その中で武山氏は、大規模災害時には道路寸断や拠点移動のため、車両が大幅に不足することを指摘。日本赤十字では非常時における迅速な救護活動を展開するため、全国各地でレンタカー事業者との「災害時緊急連携協定」の締結を進めており、今後も業界とのパートナーシップ強化が不可欠であると訴えた。


◆ドライブ観光支援、独立事務所化、女性部会の発足…北海道地区における取り組み
地域活動報告のセッションでは、北海道および札幌エリアにおける先駆的な取り組みが相次いで発表された。一般社団法人札幌レンタカー協会相談役の佐藤譲氏は、道内のレンタカー保有台数が9万944台(前年比108.0%)に増加していることを報告。広大な地域特性に伴う回送の効率化や、エゾシカ衝突事故対策、ホワイトアウト等冬道対策動画の作成、外国人向けトリッププランナーの導入など、地域密着型の事故防止・有客施策を紹介した。
続いて登壇した同協会会長の成田修朗氏は、「独立事務所の歩み」について報告。同協会は2024年に独立事務所を開設し、専任スタッフを採用すると共に会費改定を実施。これにより、会員向け講習会の充実や多言語安全啓発、次世代活動の推進など、将来を見据えた持続可能な組織基盤を確立したプロセスを明かした。
また同協会事務局長の内藤玲氏は、2025年11月に発足した「女性部会」の活動について発表。最前線で働く女性職員を中心に企業間ネットワークを構築し、国際運転免許証の確認講習会やカスタマーハラスメント対策講習会を開催するなど、現場の課題解決に直結する具体的成果を挙げていることを報告。
同協会常務理事の明石真幸氏は、NEXCO東日本との連携による「Hokkaido Expressway Pass(HEP)」セットプランの展開や、新千歳空港での外国人向け運転シミュレーター体験、観光庁補助事業による多言語パンフレット作成などの取り組みを提示。また、東京海上日動火災保険株式会社執行役員の渡邊崇志氏からは、エゾシカ衝突事故データ分析(北海道内で年間約40億円の車両保険支払い)やカスハラ対策に対応する事業リスク対策の提案がなされた。

◆レンタカーの交通インフラとしての重要性とこれから
来賓挨拶では、国土交通省 大臣官房審議官(公共交通政策、物流・自動車局担当)の大辻統氏が、レンタカーを社会インフラとして高く評価しつつ、第3次交通政策基本計画に基づく手続き無人化・省人化DXの推進、無車検・無保険車両の貸出防止などコンプライアンスの徹底、個人情報管理の厳格化を要請した。また、北海道知事の鈴木直道氏は、22年ぶりの道内開催を歓迎するとともに、宿泊税などを活用した安全な移動環境の整備に意欲を示した。北海道警察本部長の友井昌宏氏は、英語併記の一時停止標識整備など官民一体となった事故抑止策への感謝を述べ、観光庁 観光地域振興部長の飛田章氏は、訪日客消費額9.5兆円時代のキーインフラとしての期待を語った。




その後は、全国各地の地区協会で長年にわたり事業運営に貢献した役員17名に対する、地区協会役員永年勤続表彰が行われた。続いて事業報告に立った一般社団法人全国レンタカー協会専務理事の高橋芳則氏は、外国人事故防止に向けたIT/デジタル技術の活用構想や、行政からの個人情報管理徹底に関する注意事項を共有した。
大会の最後には、北海道地区レンタカー協会連合会副会長で旭川レンタカー協会会長の後藤暁人氏が閉会の辞を述べ、全国の事業者が安全安心なレンタカーサービスの提供、交通事故防止活動の一層の推進に全力を尽くすことを誓い合い、大会を締めくくった。


大会終了後には、懇親会が行われ、マンドリン演奏などのアトラクションも行われ、終始和やかな雰囲気で懇親が深められた。なお次回のレンタカー事業者大会は2年後の2028年に開催予定となっている。




